~変革の時~ 
中堅行員との勉強会開催

本日16時半より、某金融機関にて勉強会を実施した。
この勉強会は、福岡エリアの中堅行員を中心に相談事例を交えて月1回のペースで行っている。実際の相談事例や提案事例を基に金融機関や会計専門家として、これからどのように関与していくべきかについて、活発な議論が展開された。

今回のテーマは、「事業承継対策」であった。

事業承継とは、会社経営を次の世代にバトンタッチすることで、「ヒトの承継」と「資産の承継」といった二つの側面が考えられる。前者は、経営者の資質の見極めや能力開発等を目的とし、後継者選びと教育及び経営理念等の継承対策が必要となる。後者は、経営権・支配権の確保が目的となり、事業用資産の継承、特に自社株の集中などの対策が必要となる。また、その株式購入や納税資金等の資金調達の対策も不可欠である。

事業承継は相続税対策と見られがちであるが、相続税対策は事業承継対策の一部に過ぎない。
事業承継は、事業と雇用の継続性を確保することが最も重要な目的である。会社が安全に継続できるためには、後継者の資質やスキルに帰属する部分が大きい。また、現経営者に集中した信用力、営業力やノウハウ等を組織的に承継させることも重要な課題となる。
相続対策に偏重した対策は、会社の継続性を脅かすことになるので特に注意が必要だ。

今回の勉強会では、平成20年に成立した事業承継税制の抜本拡充や民法上の遺留分制度による制約への対応を始めとする事業承継円滑化のための総合的支援策の基礎となる「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」の解説を行った。

1.相続税の課税についての措置
(1)相続税の納税猶予制度
事業承継の障害の一つである相続税負担の問題を抜本的に解決するため、非上場株式等に係る相続税の軽減措置について、従来の10%減額からその事業承継相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した議決権株式等(相続開始前から既に保有していた議決権株式等を含めて、その会社の発行済議決権株式の総数等の3分の2に達するまでの部分)の80%納税猶予に大幅に拡充するとともに、対象が中小企業全般に拡大された。本制度は、中小企業経営承継円滑化法の施行の日(平成20年10月1日)以降の相続に遡って適用される。 

(2)贈与税の納税猶予制度
中小企業の事業承継を円滑化するため、非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度が導入された。
後継者(=受贈者。先代経営者の親族。)が、一括で自社株式の贈与を受けた場合には、当該後継者の贈与税の納税が猶予(贈与前から後継者が既に保有していた議決権株式等を含め発行済完全議決権株式総数の3分の2に達するまでの部分)される。なお、基本的に、適用要件は相続税の納税猶予制度におけるものと同様(図中の下線部分は、相続税の納税猶予と相違する部分です。)であり、平成21年4月1日以降の贈与から適用される。

2.民法の特例
一定の要件を満たす後継者が、遺留分権利者全員との合意及び所要の手続(経済産業大臣の確認、家庭裁判所の許可)を経ることを前提に、以下の民法の特例の適用を受けることができる。
(1)生前贈与株式を遺留分の対象から除外
贈与株式が遺留分減殺請求の対象外となるため、相続に伴う株式分散を未然に防止できる。
(2)生前贈与株式の評価額を予め固定
後継者の貢献による株式価値上昇分が遺留分減殺請求の対象外となるため、経営意欲が阻害されない。
従来の遺留分放棄は当事者全員が個別に申立てを行うことが必要であったが、改正後の手続については、後継者が単独で申立てができることがポイントである。

3.金融支援
経営者の死亡等に伴い必要となる資金の調達を支援するため、経済産業大臣の認定を受けた中小企業者及びその代表者に対して、以下の特例を設ける。
(1)中小企業信用保険法の特例(対象:中小企業者)
(2)株式会社日本政策金融公庫法及び沖縄振興開発金融公庫法の特例(対象:中小企業者の代表者)
親族外承継や個人事業主の事業承継を含め、株式、事業用資産の取得資金、信用力の低下時の運転資金及び相続税負担のような幅広い資金ニーズに対応している。

この記事は 2009年 9 月 11日(金曜日) に投稿されました。
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