非上場株式の評価

 商工会議所NEWSの10月号税務Q&Aに「非上場株式の評価」が掲載されましたのでご紹介します。

非上場株式の評価は、取得者の態様によって評価額が異なることもあり、非常に難解な論点であるため、適切な時価を検討・精査することが弊社の重要な業務の一つとなっている。個人対個人の取引の場合において、取得後の議決権比率が相対的に低いときは、配当還元価額方式がとれるが、取引の当事者に法人が入るケース(個人対法人、法人対個人、法人対法人)では、原則として当該方式は採用できないので、特に注意が必要である。

個人間において非上場会社の株式の移転をした場合における株価の算定方法には、収益方式、純資産方式、比準方式及び国税庁方式がある。M&A等の際には、収益方式のうちDCF方式を加味することが多いが、同族関係者間の取引では、税務リスク回避のために国税庁方式が採用されるケースがほとんどである。
従って、取引相場のない株式は、株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主か、それ以外の株主等かの区分により、それぞれ原則的評価方式又は特例的な評価方式の配当還元方式により評価することになる。評価方式は、取得後の議決権比率や会社規模により異なるので、事業承継や相続対策が必要な企業では自社がどの区分に該当し、どの評価方式が採用されるのか、常に意識して対応しなければならない。

Ⅰ 原則的評価方式
原則的評価方式は、評価する株式を発行した会社を従業員数、総資産価額及び売上高により大会社、中会社又は小会社のいずれかに区分して、原則として次のような方法で評価をすることになる。
(1) 大会社
原則として、類似業種比準方式により評価する。この方式は、類似業種の株価を基に、評価する会社の一株当たりの配当金額、利益金額及び純資産価額の三つで比準して評価する方法である。
(2) 小会社
原則として、純資産価額方式によって評価する。この方式は、会社の総資産や負債を原則として相続税の評価に洗い替えて、その評価した総資産の価額から負債や評価差額に対する法人税額等相当額を差し引いた残りの金額により評価する方法である。
(3) 中会社
大会社と小会社の評価方法を併用して評価する。

Ⅱ 特例的な評価方式
同族株主以外の株主等が取得した株式については、その発行会社の規模にかかわらず原則的評価方式に代えて特例的な評価方式の配当還元方式で評価する。配当還元方式は、その株式を所有することによって受け取る一年間の配当金額を、一定の利率(10%)で還元して元本である株式の価額を評価する方法である。

Ⅲ 特定の評価会社の株式の評価
類似業種比準方式で評価する場合の比準要素数が1つの会社、株式保有特定会社、土地保有特定会社、開業後3年未満の会社のような特定の評価会社の株式は、原則として純資産価額方式により、清算中の会社の株式は清算分配見込額により評価することになっている。

※1 同族株主の判定
(原則) 株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が30%以上である場合におけるその株主及びその同族関係者
(特則) 株主の1人及びその同族関係者の有する議決権の合計数が50%超のグループがある場合にはその株主及びその同族関係者のみが同族株主となる

※2 会社規模の判定21109

 

 

 

 

 

 

 

 

 

商工会議所NEWS 10月号税務Q&A
2009101

この記事は 2009年 10 月 9日(金曜日) に投稿されました。
登録カテゴリー:変革の時(代表者ブログ).
RSS 2.0 Both comments and pings are currently closed.

Comments are closed.

カレンダー

2009 年 10 月
« 9 月   11 月 »
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

最近の投稿

カテゴリー