事業承継セミナー(白垣)
本日、ふくおかフィナンシャルグループ、日本プライベートエクイティ、福岡キャピタルパートナーズ、福岡中央銀行主催の事業承継セミナーに参加しました。
前半部は、トーマツコンサルティングの藤嶋氏の講演、後半部は、事業承継をされた社長を交えてのパネルディスカッション(コーディネイターは弊社代表山口)でした。
事業承継は、「経営の承継」と「資産の承継」の2つの側面があるが、今回のセミナーは、経営の承継を重視した内容だった。
相続対策や自社株対策といった資産の承継対策は事業承継の一部分に過ぎず、事業そのものの承継対策が最も重視されるべきである。
資産承継の失敗は、株式購入資金や納税資金の流出により直接的に純資産を圧迫し、経営承継の失敗は、競争優位性を維持できなかった結果として収益力の低下を招き、間接的に純資産を毀損する。結局、経営と資産の承継の両方が円滑に行わなければ、組織は衰退へ向かう。
国税庁の統計によれば、わが国の95%はいわゆるオーナー企業である。オーナー企業における長所は、意思決定の迅速性であり、短所は、偏った意思決定に対する外部利害関係者からの圧力が働きにくいガバナンスの問題である。これらはコインの表裏のようなもので、オーナー企業を頭から否定することにはならない。問題は、営業力や信用力などの重要機能が経営者に集約され、組織として機能していないことである。なぜなら、分業により、ガバナンスが適切に機能すれば経営の透明性、健全性、遵法性が確保され、短所を補うことが可能だからである。
上場企業とオーナー企業の事業承継における相違点は、前者は経営権の承継のみで事業は円滑に継続し、後者は経営権と資産の両方が円滑に承継されなければ事業の継続は困難となることである。また、両者の共通点は事業の継続という目的である。
事業の継続が経営者の社会的責任であり、事業承継の目的ならば、オーナー企業においても、円滑な経営承継のための組織構築が不可欠だろう。後継者が誰であるかは、目的でなく組織構築上の選択肢の1つにすぎず、目的遂行のため指名した後継者が身内であっても、経営理念など組織としてのあるべき行動を体現でき、大局観と戦略的意思決定能力を有する人物であれば、その組織の事業は、「家業」ではなく、「継続する価値のある事業」と考えられるだろう。