~変革の時~ 
金融機関の事例研究会開催

本日18時より、某金融機関と事例研究会を実施した。
この勉強会は、福岡エリアの中堅行員を中心に相談事例を交えて月1回のペースで行っている。実際の相談事例や提案事例を基に金融機関や会計専門家として、これからどのように関与していくべきかについて、活発な議論が展開された。

今回も前回に引き続き、「事業承継事例」をテーマに協議を行った。

今回は、業績が堅調な年商数百億円規模の中堅企業であり、4社で形成されるグループ会社の事業承継事例であった。そのビジネスモデル及び過大な有利子負債から勘案すると相対的に利益水準が小さいにもかかわらず、非常に高額な役員報酬を支給していた。現経営者はカリスマ性があり、強烈なリーダーシップによって社内全体を管理統率している。必然的に重要な権限のほとんどはワンマン経営者に集中しており、権限委譲の度合いはかなり低いものと思われる。

一方、事業承継対策は不十分であり、後継者への株式移転も進んでいない。自社株の株価は間違いなく高騰しているものと想定され、早急に何らかの対策を打たなければならない。承継後の会社経営を安全確実に遂行するために、後継者はできるだけ3分の2以上の議決権を取得し、経営権を掌握すべきであるので、資金負担や税務リスク等を勘案し、長期的かつ計画的な対策を行うことが求められる。

同社は、過度な節税志向のためか、金融機関との関係性や調達環境が十分に整備されているとは言えない。そのビジネスモデル自体も、代表者個人の資金力を背景によって成立している銀行借入金を前提としており、約定返済とバランスしていないため、早急に適正な状態に是正していく必要があろう。

当該事例のように、ワンマン経営でカリスマ性の強い経営者の場合において、ご子息など親族内で承継を行うときは、経営能力や管理統制方法等の大きなギャップにより、承継後、会社の業績が低迷したり、社内的な管理統制が不安定になることが非常に多い。

現経営者は最後の重大な責務として、長期的・体系的な後継者教育と併せて、個人的経営から組織的運営の移行、所有と経営の分離、シンプルな管理統制の再構築など、積極的に取り組むべきであり、その上で、代表権を後継者に移行した後も、数年間は相談役等の立場でアドバイザーや監視役として、円滑な事業承継と会社継続を見守っていかなければならない。

この記事は 2009年 12 月 10日(木曜日) に投稿されました。
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