定期金に関する権利の評価見直し

商工会議所NEWSの平成22年5月号税務Q&Aに「定期金に関する権利の評価見直し」が掲載されましたのでご紹介します。

Q 平成22年度税制改正で、定期金に関する評価方法に対する課税強化が図られたそうですが、その内容を教えて下さい。

A 定期金とは、年金のように一定期間、現金などの給付を受ける権利のことをいい、給付事由の発生有無により分類され、更に給付事由の発生しているものは、その給付期間によって、有期定期金、無期定期金、終身定期金の3種類に区分されます。
改正前において、定期金に関する権利を評価する場合における割合や倍数は、昭和25年当時の金利水準(8%)や平均余命年数などを基に算定されていたため、評価額が過小に算定され、実際の年金受取額の現在価値とは大きく乖離する結果となっていました。
年金受給権として低い評価を受けた後、一時金を選択できる高額な一時払い個人年金保険などについては、従来より適正課税の観点から問題視されていましたが、この度の平成22年度税制改正において抜本的な評価方法の見直しが行われました。今後は、既存の契約分を含め、その評価額が大幅に増加することが想定されますので、相続対策等において特に注意が必要となります。

Ⅰ 改正内容
(1) 給付事由の発生している定期金に関する評価については、所定の経過措置を講じた上で、図表のように、①解約返戻金相当額 ②定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には当該一時金相当額 ③予定利率等を基に算出した額のいずれか多い額によって評価されることとされました。
(2) 給付事由が発生していない定期金に関する権利については、原則として、解約返戻金相当額によって、評価することとされました。

Ⅱ 新評価方法の適用関係
(1) 給付事由の発生している定期金
平成22年4月1日から平成23年3月31日までの間に相続・贈与等により取得する定期金に関する権利(当該期間内に締結した契約(確定給付企業年金等を除く。)に係るものに限る。)及び平成23年4月1日以後の相続・贈与等により取得する定期金に関する権利に係る相続税又は贈与税について適用されます。
結果的に、平成22年3月31日までに契約したもので、平成23年3月31日までに相続・贈与等により取得する定期金に関する権利については、改正前の評価方法により評価することになります。ただし、解約返戻金の額、一時金の額、給付を受けるべき期間又は金額、予定利率といった重要事項の変更、契約に関する権利の価額の計算に及ぼすものや契約者又は定期金受取人、当該契約に関する権利を取得する時期の変更など軽微な変更に該当しないものは、その変更のあった日に新たに締結された契約とみなされますので注意が必要です。
(2) 給付事由の発生していない定期金
平成22年4月1日以後の相続・贈与等により取得する定期金に関する権利に係る相続税又は贈与税について適用されます。

 

〔図 表〕

改 正 前 改 正 後
給付事由(被保険者の死亡等)の発生しているもの
有期定期金 次のいずれか低い額
① 給付金額の総額×残存期間に応じた割合(20%~70%)
② 1年間に受けるべき金額×15
次のいずれか多い額
① 解約返戻金相当額
② 定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には、当該一時金相当額
③ 予定利率等を基に算出した金額
無期定期金 1年間に受けるべき金額×15
終身定期金 1年間に受けるべき金額×受給者の年齢に応じた倍数(1~11倍)
給付事由(被保険者の死亡等)の発生していないもの
払込済保険料等の総額×払込買い指示からの経過期間に応じた割合(90~120%) 解約返戻金相当額

 

商工会議所NEWS 5月号税務Q&A
20100507

この記事は 2010年 5 月 7日(金曜日) に投稿されました。
登録カテゴリー:変革の時(代表者ブログ).
RSS 2.0 Both comments and pings are currently closed.

Comments are closed.

カレンダー

2010 年 5 月
« 4 月   6 月 »
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

最近の投稿

カテゴリー