口蹄疫感染被害

商工会議所NEWSの平成22年7月号税務Q&Aに「口蹄疫感染被害」が掲載されましたのでご紹介します。

Q 宮崎県における口蹄疫感染被害が深刻な社会問題になっていますが、これに関連する税務上の優遇措置などはありますか。

A 口蹄疫感染被害に遭われた畜産農家については、税務上において納税の猶予や申告などの期限の延長等が適用できます。また、宮崎県口蹄疫被害義援金を通じて、これら畜産農家を支援した個人や法人についても一定の優遇措置が設けられています。

Ⅰ 納税の猶予・申告期限延長等
 口蹄疫感染被害に遭われたときには、以下のような優遇措置を受けることができます。
(1) 納税の猶予
口蹄疫感染被害により相当の損失を受け、納付期限までに納税できない場合には、所轄税務署長に申請することにより、次のとおり納税の猶予を受けることができます。
① 損失を受けた日に納期限が到来していない国税
イ 損失を受けた日以後1年以内に納付すべき国税 ⇒ 納期限から1年以内に納税
ロ 所得税の予定納税や法人税・消費税の中間申告分 ⇒ 確定申告書の提出期限までに納税
② 既に納期限の到来している国税
 一時に納付することができないと認められる国税 ⇒ 原則として1年以内に納税
(2) 申告などの期限の延長
  口蹄疫感染被害により、申告、納付などをその期限までにできないと認められるときは、その理由のやんだ日から2ヶ月以内の範囲で、その期限が延長されます。
⇒ 所轄の税務署長に申告、納付などの期限の延長を申請し、その承認を受けることになります。
(3) 予定納税の減額
  所得税の予定納税をされる方が、口蹄疫感染被害により損失を受けたときは、減額申請をすることで予定納税額の軽減免除を受けることができます。
⇒ 6月30日の現況によって見積もった平成22年分の所得税の額が予定納税基準額に満たないときは、原則として、7月15日までに予定納税の減額申請をし、その承認を受けることができます。
(4) 納税証明書の手数料について
口蹄疫感染被害の復旧に必要な資金の借入れを受けるための納税証明書の手数料については、無料になる場合があります。

Ⅱ 宮崎県口蹄疫被害義援金を支払った場合
  地方公共団体に対する寄附金に該当しますので、当該義援金を支出した場合には次のような税制上の優遇措置があります。
(1) 個人の方が支払った場合
① 特定寄附金として寄附金控除(所得控除)の対象となります。ただし、特定寄附金の額の合計額は合計所得金額の40%相当額が限度です。平成22年分の所得税から、寄附金控除の適用下限額が2千円(改正前:5千円)に引き下げられています。この適用を受けるためには、確定申告書に寄附金控除に関する事項を記載するとともに、確定申告書の提出の際に義援金の領収書を添付又は提示する必要があります。
② ふるさと納税制度
総務省より宮崎県口蹄疫被害義援金について、寄付した人の個人住民税などを軽減する「ふるさと納税」に該当するとの見解が示されました。寄付した人は税務署などに申告すれば、ふるさと納税の優遇税制を受けられることになります。
ふるさと納税は、出身地以外でも応援したい地方自治体に5千円を超える寄付をすると、その超える部分について、個人住民税所得割額の1割を限度として、所得税と合わせて控除されます。現在の居住地に納めている個人住民税や所得税が軽減される仕組みです。
(2) 法人が支払った場合
その支払額の全額が損金算入の対象となります。この適用を受けるためには、確定申告書に義援金の金額を記載し、寄附金の明細書を添付するとともに義援金の領収書を保存する必要があります。

Ⅲ その他
(1) 被災した取引先に対する災害見舞金等
原則として交際費に該当しないものとされています。災害見舞金等とは、被災前の取引関係の維持、回復を目的として災害発生後相当の期間内にその取引先に対して行ったものとされ、災害見舞金や事業用資産の供与、役務提供に要した費用が該当します。また、これらの災害見舞金等について、被災の程度や取引状況等を勘案した金額であれば、金額多寡は問わないこととされています。
(2) 低利率・無利息の融資
取引先に対して低利率や無利息による融資をした場合でも、その融資が取引先の復旧支援目的で災害発生後相当の期間内に行われたものであれば、通常の利息との差額について寄附金に該当しないものとされています。
(3) 売掛債権等の免除
売掛債権等の免除についても、取引先の復旧を支援する目的として、災害発生後相当の期間内のものであれば、交際費等や寄附金に該当しないとされています。売掛金の他には、未収請負金や貸付金その他準ずる債権、さらにリース料や割賦販売に係る賦払金等の災害発生後に授受するものの免除など取引条件の変更等についても、交際費や寄附金に該当しないものとされています。
(4) 自社製品の提供
法人が不特定多数の被災者を救援するために、自社製品等を提供した場合における当該提供に要する費用についても、交際費・寄附金に該当しないとされています。
※上記において、相当期間とは取引先が通常の営業活動再開のための復旧過程の期間とされています。

この記事は 2010年 7 月 8日(木曜日) に投稿されました。
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