~変革の時~
経済環境について考える

本日、経済アナリスト藤原直哉氏のセミナーに参加した。講演テーマは、「世界と日本で今起こっていること」であった。

米国のサブプライムローン問題を発端に金融不安が広がり、一昨年のリーマンショックを受け、世界的に株価が暴落した。公的資金投入など各国が大規模な経済対策を発表し、今春には景気回復基調の楽観的なマスコミ報道が続いていたが、ギリシャ危機を皮切りにPIIGS(ポルトガル・イタリア・アイルランド・ギリシャ・スペイン)の財政危機が囁かれ、ユーロ圏全体の信用が揺らいでいる。緊急避難的に円が買われ、急激な円高と株安が同時に進行した。外国為替相場では、一時1ドル=83円台と15年ぶりの高値をつけ、日経平均株価も9千円を割り込み、市場の先行き不透明感が鮮明となった形だ。欧米が自国の景気対策優先で為替安を容認している中、日本のみが為替介入することは非常に大きなリスクを伴うので慎重に判断しなければならないだろう。

仮に1ドル=70円台に突入した場合には、円高に歯止めが利かなくなり、少子高齢化の影響による国内市場の縮小、高い法人税率などの構造的な問題解決を図るため、製造業等が雪崩を打って生産拠点が海外に移転する可能性が高い。小売、サービス業ともにデフレ圧力に大変苦戦しており、公共工事の縮減や建築不況等と相まって、雇用環境の悪化懸念が顕在化してくるのは必死だ。一時帰休に伴う雇用調整給付金により支えられてきた企業業績維持にも限界は近い。また、緊急融資制度が終了した後に想定される倒産ラッシュによる影響にも注視しなければならない。

著しい経済成長を続け、頼みの綱である中国も不動産バブルの様相を呈し、農村部との大きな経済格差の問題も顕在化し、不満分子を完全に押さえ込むのは困難な状況ではなかろうか。今、世界的に国家破綻や通貨危機が相次いで起きようとしている。政治の強いリーダーシップによる日本経済の抜本的な構造転換が急務であることは間違いないが、現在の民主党政権が政局争いや利害調整に翻弄し、抜本的な政策は何も見えてこない。政治力による景気回復に我が国の将来を委ねることは決してできない状況だ。

このような経済環境の中、企業が存続し続けるためには、環境悪化に適応できる柔軟さ、筋肉質の財務体質及び継続的なイノベーションによる付加価値の持続的な競争力等が求められている。変化をチャンスとして捉え、積極的に顧客の問題解決を提案する企業のみが唯一成長できるのではなかろうか。

この記事は 2010年 8 月 20日(金曜日) に投稿されました。
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