~変革の時~
YCAビジネススクールⅢ 第19回

本日10時より、YCAビジネススクールⅢが開催された。

前段における経営戦略等の発表については、不動産業を営むA社幹部のK氏が行った。同社は、積極的な成長戦略をとり年商40億円まで順調に成長してきていたが、アメリカのサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融資本市場の混乱の影響により不動産に対する資金調達が困難となったことを受け、AM事業中心の業態からPM事業を核とするサービス事業化へと大きく転換を図った。多くの大手・中堅の不動産デベロッパーが破綻する中、同社は外部環境の変化をいち早く捉え、在庫・短期借入金の圧縮に注力したことで、今回の危機をうまく回避できた。

不動産業界において在庫している販売用不動産の価額変動は、市場の需給関係以外の要素として、投機による部分が大きいのが特徴だ。また、借入れによるレバレッジを効かせるため、相対的に債務過多となりやすい。そこで、自助努力ではコントロールできない2つの外部環境(投機要素・金融機関等の融資姿勢)の変化を常に意識して経営しなければならない。景気変動の影響を激しく受けるため、好景気及び不景気のいずれにも適用できる収益構造とコスト構造をいかに構築できるかが企業継続の鍵となる。A社は、3つの事業の柱を持ち、景気変動に合わせ経営資源の配分を適切に変えることで、柔軟に外部環境に適応できている。最悪の状況時に耐えうる財務体質や固定費構造などを、常に経営者が意識して経営しているかが最も重要な課題ではなかろうか。

後段は、先日行われた経済アナリスト藤原直哉氏のセミナー内容を基に、今後の経済見通しと中小・中堅企業がとるべき経営戦略について活発な討議を行った。

今春のギリシャ危機を皮切りにPIIGS(ポルトガル・イタリア・アイルランド・ギリシャ・スペイン)の財政危機が囁かれ、ユーロ圏全体の信用も揺らいできた。外国為替相場では、一時1ドル=83円台の高値をつけ、日経平均株価も9千円を割り込んだ。欧米が自国の景気対策優先で為替安を容認している中、日本のみが為替介入することは更なる財政悪化を招きかねない。本当に適正な為替水準はいくらなのか。国際的なグローバル社会において日本の強みを生かせる経済構造とはいかなるものかなど、パラダイムの転換が必要な時期にきているのだろう。

我が国における実質的な社会主義体制の限界を真摯に受け止めなければならない。国際競争力を強く意識した教育のあり方、社会保障、年金制度、医療制度や法人税制の再構築など難問が山積している。権力抗争に明け暮れる現在の民主党政権ではこれらの短期的解決は期待できず、少なくとも数年は不景気を前提に考えた方が賢明だ。企業や個人は、自らとその家族及び日本の将来を守るため、偏った情報に流されず自ら適切な行動を選択しなければならない。じっと待っていても誰も助けてはくれないことを肝に銘じるべきであろう。

この記事は 2010年 8 月 28日(土曜日) に投稿されました。
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