雇用促進税制の創設

商工会議所NEWSの平成23年10月号税務Q&Aに「雇用促進税制の創設」が掲載されましたのでご紹介します。

Q 税制改正で雇用促進税制が設けられたそうですが、その内容を教えてください。

A 今年6月に分割成立した平成23年度税制改正において、雇用の維持・促進を図る目的で雇用促進税制が創設されました。
これにより、当期末における雇用保険の一般被保険者である雇用者の数が前期末に比較して、一定以上増加した場合など次に掲げる適用要件を満足するときは、その増加した人数×20万円を法人税額から控除できるようになりました。なお、適用要件を充足しているかどうかの証明として、雇用促進計画等の公共職業安定所への提出・確認と、申告書への写しの添付が必要になりますので要注意です。

(1) 適用要件
青色申告法人(個人も適用されます。)が、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの開始事業年度において、次の①から⑤までの要件を全て満たしていることが必要です。
① 前期及び当期に事業主都合による離職者がいないこと。
② 基準雇用者数※が5人以上(中小企業者等は2人以上)増加していること。
 ※ 基準雇用者数=当期末の雇用者数-前期末の雇用者数
③ 基準雇用者割合※が10%以上であること。
※ 基準雇用者割合=基準雇用者数÷前期末の雇用者数
④ 当期の給与等の支給額が比較給与等支給額※以上であること。
 ※ 比較給与等支給額=前期給与等支給額+前期給与等支給額×基準雇用者割合×30%
⑤ 雇用保険法第5条第1項に規定する適用事業(一定の事業を除きます。)を行っていること。
なお、この制度の適用を受けるためには、確定申告書等に所定の記載及び一定の明細書を添付しなければなりません。

(2) 特別税額控除できる金額
当期の法人税額から、基準雇用者数×20万円の金額を控除することができます。ただし、当期の法人税額の10%(中小企業者等については20%)相当額が限度とされます。

(3) 雇用促進計画の確認・添付
この制度の適用を受けるためには、雇用促進計画を作成し、公共職業安定所等がその達成状況を確認した旨を記載した書類の写しを確定申告書に添付する必要があります。
雇用促進計画の達成状況の確認に関する手続きは、法人の納税地を管轄する公共職業安定所等に、①その事業年度開始の日から2か月以内に、雇用者の目標増加数を示した計画書類を提出し、②その事業年度終了の日後2か月以内に、当期の雇用者増加数などの要件を充足した内容を追記した計画書類を再度、提出することとされています。
このうち①の目標増加数の計画の提出は、制度施行時期等の影響により経過的取扱いとして、平成23年4月1日から8月31日までの開始事業年度については、平成23年10月31日まで受け付けるとしています。また、②の達成状況の確認作業は2週間以上必要であるものと想定され、申告期限を考慮した対応が必要となります。
なお、雇用促進計画の様式は厚生労働省のホームページか公共職業安定所にて入手が可能です。

〔図表〕
① 雇用者とは、法人の使用人のうち雇用保険の一般被保険者であるものをいい、役員の親族などの特殊関係者や使用人兼務役員は除かれます。
② 中小企業者等とは、資本金が1億円以下の法人のうち、大規模法人に単独で発行済株式等の2分の1(複数で3分の2)以上を所有されていないものなどをいいます。

この記事は 2011年 10 月 12日(水曜日) に投稿されました。
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