~変革の時~
M社経営方針発表会

本日、弊社関与先M社の新年度経営方針発表会に参加した。通販及び店舗販売を含むM社は創業して9期の中堅企業であるが、西日本を中心に年商40億円とこれまで順調に成長を果たし、前月の月次決算においても過去最高益を達成した。同社は株式公開(IPO)を目指して準備を進めており、筆者も内部統制構築の観点から様々な支援を行っている。

本日の発表会でM社社長は、これからの新しい社会のデザインを描いていく重要性を説明し、その中で同社がどのような役割を担っていくべきについてのグランドビジョンをとても熱く語った。筆者は、M社の創業間もない頃からその成長を見続けてきたが、継続的に付加価値を創造していく企業姿勢はとても素晴らしく、経営戦略だけでなく、マーケティング面や組織面もかなり高いレベルに達している。本日の社長や幹部社員の発表は熱い情熱と魂がこもっており、今後、業界を牽引していくリーディングカンパニーに変貌を遂げていくに違いない。弊社も負けないよう継続的に研鑽していかなければならないと思った。

本日の発表会では、筆者も「パラダイム転換」をテーマに講演させていただいた。

パラダイム転換とは、認識・思想・社会全体の価値観(前提条件)が劇的に変化することである。昨年3月11日に発生した東日本地震はまさにパラダイムシフトの始まりを予感させる。マグニチュード9と世界観測史上4番目の規模で震度7を記録する未曾有の大災害となり、人々の価値観は大きく変化した。巨大地震の多発期に突入したとも言われ、今年始めに東京大学地震研究所が、マグニチュード7クラスの東京直下型地震の4年以内の発生確率を70%以上と発表したことも記憶に新しい。

また、地震後発生した福島原発事故は人災の可能性が高く、政府と東電の初期対応が適切であれば防げたとも言われている。福島原発では大地震と大津波が事前に想定されていたにも関わらず、非常用電源設備の設置がアメリカに比べ、脆弱すぎる設定になっていた。利益重視で建築されたことは否定できないだろう。原子力はエネルギー効率が最も高いと、過度に意図的な仮説を立て、安全で環境にやさしいと国家的規模で国民を洗脳していた。政府・官僚との癒着は極めて深刻であり、東京電力とその関連会社は経済産業省の天下り先となっていた。組織的な政治献金も経常化しており、原子力推進派がトップを占め、文民統制ができていないなど、原子力のリスクがきちんと説明されない癒着体質が長年かけて構築されていた。今回の原発事故をきっかけに電力会社の再編の可能性が出てきた。原発は民間企業で統制できないことが立証され、原発分離、発送電分離や再生可能エネルギーへの転換の可能性が高まり、良くも悪くも日本経済の象徴的存在であった電力会社の矛盾を一気に噴出させる結果となった。

一方で、世界経済を俯瞰してみるとイランとイスラエルは一触即発の状況であり、中東危機による原油価格高騰リスクが顕在化している。ギリシャは、実質デフォルトし、民間債務の53.5%が削減されたが、PIIGS危機は、実質的には全く収束していない。中国を始めとする新興国は不景気でインフレに陥り、賃金を上げないと政治がもたない強烈なストレスの中にあり、世界的な金融危機の勃発によっては、海外直接投資の一斉引上げが起こるリスクが高い。日本では1000兆円まで膨張した国債の暴落リスクが高まっている。金融機関における国債の大量保有、モラトリアルや国の信用保証問題など、不良債権等が大量発生すれば金融再編が起こるかもしれない。原発停止に伴う電力問題、中東危機に伴う原油高騰、日銀によるマネーサプライの供給などによりインフレは不可避と見られ、いずれ金利上昇は避けられなくなるだろう。その他にも企業年金問題、社会保障費(医療費・年金)の削減問題、公務員・特別会計・特殊法人等の削減や郵貯問題など、「現役世代の減少」と「高齢者の激増」の社会構造と相まって、国債暴落で赤字国債が発行できなくなったタイミングで、これらの本質的な問題解決に本気で着手せざるをえなくなるだろう。

日本では、近年2回のパラダイム転換を経験している。明治維新の前には安政東海地震・安政南海地震や安政江戸地震が、第二次世界大戦敗戦の前には関東大震災が起きている。
これらを鑑みても、これからパラダイム転換が起こるのは間違いない。現代は、ITの普及で情報伝達のスピードが飛躍的に高まっており、大地震後、前回よりもかなり早くタイミングでパラダイムシフトが始まるだろう。社会主義大国(日本)の崩壊による新資本主義の構築、社会保障費の削減、脱物質経済への転換、幸福感の変化への対応、再生可能エネルギーへの転換、農業改革による食料自給率向上、思い切った各種規制緩和、生涯教育意識の高まり、自然と共に生きるなど価値観や前提条件が大きく変貌していくに違いない。過去の歴史からも明らかなように、転換時の経済や情勢は、非常に不安定になる。内的に安定した軸が必要であろう。

これからのビジネスパーソンに求められるものは、原理・原則に従うことだ。正しい目標、つまり望ましい状態を常にイメージする。瞑想などのスキルにより明確にする努力を怠ってはならない。そのためにも情報収集が重要であり、聞いてみる、行ってみる、やってみることでその達成可能性は飛躍的に高まる。高いモチベーションを維持するためには、正しい考え方を持ち、正しいことをすること、つまり正しい役割に徹することが重要である。更にそれを反復すること、つまり正しい行動を習慣化し、行動の選択基準が反射的になる水準を目指さなければならない。

人生や経営には、制約条件がある。つまり、資源(ヒト・カネ・モノ・情報)、時間及び命には限りがある。肉体的・精神的健康のため、食事・睡眠・運動・哲学・学習については拘るべきであり、もっとリスクをとって、もっと学び、それらの黄金バランスをとことん追求すべきである。

これから、経済の前提条件が変わる。周りが不安定になるため、継続的な付加価値の創造が不可欠で、不安定さに安心するような心理が必要である。不安やストレスは成長機会、成長途中であり、安定に不安を感じるようになれば簡単に成功できる。公務員や大企業などの大規模組織は環境適応に追われ、選択と集中のため、海外展開を加速させ、大規模なリストラを行うだろう。しかし、中小・中堅企業はチャンスが多い。優秀な人材が流動化し、ニッチビジネスが栄える。新しい市場が生まれる。安定に価値がないことに多くの人が気づくだろう。資源には限度があるため経済成長による解決を前提としてはならない。おそらく適正規模への収縮が起こるだろうが、楽観主義的な問題解決を期待してはならない。ただし、人間の生活、つまり経済活動はなくなることはない。

これからの時代、明るいこと、前向きであること、能動的であること、受身でないこと、元気であること、ピンチはチャンス(機会)と思えること、困難やストレスは成長過程であること、変化をチャンスと思えること、口先だけではなく行動(結果)を選択できること、できない理由ではなくどのようにしたらできるかと考えられること、常に困難な方を選択できること、不安定なことに安心することが大事である。スキルを磨くこと、考える力やコミュニケーションスキル等を身につけることを習慣化することで、パラダイム転換の激動の時代を、幸福に逞しく乗り越えていけるものと信じて疑わない。

この記事は 2012年 4 月 3日(火曜日) に投稿されました。
登録カテゴリー:変革の時(代表者ブログ).
RSS 2.0 Both comments and pings are currently closed.

Comments are closed.

カレンダー

2012 年 4 月
« 3 月   5 月 »
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

最近の投稿

カテゴリー