平成25年度税制改正大綱

与党による平成25年度税制改正大綱が、本日公表された。税制改正大綱は弊社の業務に重大な影響を及ぼすことから、毎年強い関心を持って待ち構えている。

昨年12月の政権交代の影響で、例年より1月以上遅い発表となった。従って、法律制定についても3月の年度末まで間に合わない可能性があり、今後の動向には特に注意が必要である。今回の大綱はアベノミクスの影響が色濃く出ているのが特徴だ。
わが国の経済は、円高・デフレ不況が長引き、足下では、貿易赤字の拡大、国内の成長機会や若年雇用の縮小、復興の遅延等、閉塞感は深刻さを増していることを受け、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」によって、「成長と富の創出の好循環」へと転換させ「強い経済」を取り戻すことを念頭に置かれており、特に金融税制の抜本的見直しが行われている。また、平成26年4月から消費税率が引き上げられることに対応する措置が講じられている。
私が俯瞰して、特に気になる項目は下記の通りであるが、例年よりも重要な改正項目が多く、速やかな対応が求められるだろう。

1 所得税の最高税率の見直し
現行の所得税の税率構造に加えて、課税所得4,000 万円超について45%の税率を設ける。
(注)上記の改正は、平成27年分以後の所得税について適用する。

2 金融税制の見直し
(1)特定公社債等の譲渡所得等については、非課税の対象から除外した上、次の措置を講ずる。
① 居住者等が、平成28 年1月1日以後に特定公社債等の譲渡をした場合には、当該特定公社債等の譲渡による譲渡所得等については、20%(所得税15%、住民税5%)の税率による申告分離課税の対象とする。
② 特定公社債等の償還又は一部解約等により支払を受ける金額については、これを特定公社債等の譲渡所得等に係る収入金額とみなすことにより、20%の税率による申告分離課税の対象とするとともに、損失が生じた場合には他の特定公社債等の譲渡所得等から控除することを可能とする。
(2)上場株式等の譲渡損失及び配当所得の損益通算並びに繰越控除の特例の対象範囲の拡充
① 上場株式等の譲渡損失及び配当所得の損益通算の特例の対象に、特定公社債等の利子所得等及び譲渡所得等を加え、これらの所得間並びに上場株式等の配当所得及び譲渡所得等との損益通算を可能とする。
② 平成28年1月1日以後に特定公社債等の譲渡により生じた損失の金額のうち、その年に損益通算をしても控除しきれない金額については、翌年以後3年間にわたり、特定公社債等の利子所得等及び譲渡所得等並びに上場株式等の配当所得及び譲渡所得等からの繰越控除を可能とする。
(注)上記①及び②の上場株式等の配当所得は、申告分離課税を選択したものに限る。
③ 特例の対象となる譲渡の範囲に、公社債を発行した法人が行う買入消却による公社債の譲渡を加える。
④ 確定申告書の提出がなかった場合等の宥恕措置を廃止する。
(3)特定公社債の範囲
「特定公社債」は、次の公社債(いわゆる金融債で預金保険の対象となっているものを除く。)とする。
(イ)国債、地方債、外国国債、外国地方債
(ロ)会社以外の法人が特別の法律により発行する社債(投資法人債及び特定目的会社の特定社債を除く。)
(ハ)公募公社債、上場公社債
(ニ)発行日の前6月以内に有価証券報告書等を提出している法人が発行する社債
(ホ)国外において発行された公社債で、次に掲げるもの(取得後引き続き保護預りがされているものに限る。)
a 国内において売出しがされたもの
b 国内における私売出しの日前6月以内に有価証券報告書等を提出している法人が発行する社債
(4)利子所得等の課税方式
一般公社債等の利子等については、20%源泉分離課税を維持する。ただし、同族会社が発行した社債の利子でその同族会社の役員等が支払を受けるものは、総合課税の対象とする。
(5)譲渡所得等の課税方式
一般公社債等の譲渡所得等については、非課税の対象から除外した上、次の措置を講ずる。
① 居住者等が、平成28年1月1日以後に一般公社債等の譲渡をした場合には、当該一般公社債等の譲渡による譲渡所得等については、20%(所得税15%、住民税5%)の税率による申告分離課税の対象とする。
② 一般公社債等の償還又は一部解約等により支払を受ける金額(私募公社債投資信託及び証券投資信託以外の私募投資信託にあっては、信託元本額までに限る。)については、これを一般公社債等の譲渡所得等に係る収入金額とみなすことにより、20%の税率による申告分離課税の対象とする。ただし、同族会社が発行した社債の償還金でその同族会社の役員等が支払を受けるものは、総合課税の対象とする。
(6)株式等に係る譲渡所得等の分離課税の改組
株式等に係る譲渡所得等の分離課税について、上場株式等に係る譲渡所得等と非上場株式等に係る譲渡所得等を別々の分離課税制度とした上で、①特定公社債等及び上場株式等に係る譲渡所得等の分離課税と、②一般公社債等及び非上場株式等に係る譲渡所得等の分離課税に改組する。
(7)特定管理株式等が価値を失った場合の損失の特例等の拡充
① 特定口座で管理されている内国法人が発行した特定公社債につき、公社債としての価値を失ったことによる損失が生じた場合として当該特定公社債を発行した法人の清算結了等の事実が生じたときは、当該事実が生じたことは特定公社債の譲渡をしたこととみなし、かつ、当該損失の金額は特定公社債の譲渡をしたことにより生じた損失の金額とみなして、特定公社債等に係る利子所得等及び上場株式等に係る配当所得との損益通算並びに
3年間の繰越控除を可能とする。
② 特定管理株式等が価値を失った場合の損失の特例について、本特例によって株式等の譲渡により生じた損失の金額とみなされた金額を上場株式等に係る譲渡損失の金額とみなして、特定公社債等に係る利子所得等及び上場株式等に係る配当所得との損益通算並びに3年間の繰越控除を可能とする。
③ 特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等の特例及び特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等の特例について、これらの特例により控除することができる株式の取得に要した金額及び特定株式等の譲渡損失の金額は、特定公社債等及び上場株式等に係る譲渡所得等並びに一般公社債等及び非上場株式等に係る譲渡所得等から控除できることとする。
(8)法人に係る利子割の廃止
① 平成28年1月1日以後に支払を受けるべき利子等に係る利子割の納税義務者について、利子等の支払を受ける法人を除外し、利子等の支払を受ける個人に限定する。
② 法人に係る道府県民税法人税割額から利子割額を控除する制度及びこの制度による控除不足額を当該法人に係る道府県民税均等割額等へ充当又は還付する制度を廃止する。
(9)上場株式等の配当等及び譲渡所得等に係る10%軽減税率(所得税7%、住民税3%)は、平成25年12月31日をもって廃止する。

3 住宅税制
住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について適用期限(平成25年12月31日)を平成29年12月31日まで4年延長するとともに、住宅の取得等をして平成26 年から平成29 年までの間に居住の用に供した場合の住宅借入金等の年末残高の限度額(借入限度額)、控除率、各年の控除限度額及び控除期間(10 年間)の最大控除額を次のとおりとする。
① 一般の住宅の場合
平成26年1月~3月 2,000万円 1.0% 20万円 200万円
平成26年4月~平成29年12月 4,000万円 1.0% 40万円 400万円
② 認定住宅の場合
平成26年1月~3月 3,000万円 1.0% 30万円 300万円
平成26年4月~平成29年12月 5,000万円 1.0% 50万円 500万円

4 相続税・贈与税の見直し
(1)相続税の基礎控除及び税率構造について、次の見直しを行う。
① 相続税の基礎控除
現 行  5,000万円+1,000万円×法定相続人数
改正後  3,000万円+600万円に法定相続人数
② 相続税の税率構造 → 6億円超の金額55%
(注)上記の改正は、平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用する。
(2)小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、次の見直しを行う。
① 特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積を330㎡(現行240㎡)までの部分に拡充する。
② 特例の対象として選択する宅地等の全てが特定事業用等宅地等及び特定居住用宅地等である場合には、それぞれの適用対象面積まで適用可能とする。
なお、貸付事業用宅地等を選択する場合における適用対象面積の計算については、現行どおり、調整を行うこととする。
③ 一棟の二世帯住宅で構造上区分のあるものについて、被相続人及びその親族が各独立部分に居住していた場合には、その親族が相続又は遺贈により取得したその敷地の用に供されていた宅地等のうち、被相続人及びその親族が居住していた部分に対応する部分を特例の対象とする。
④ 老人ホームに入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等は、次の要件が満たされる場合に限り、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして特例を適用する。
イ 被相続人に介護が必要なため入所したものであること。
ロ 当該家屋が貸付け等の用途に供されていないこと。
(注)上記①及び②の改正は平成27 年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用し、上記③及び④の改正は平成26年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用する。
(3)未成年者控除及び障害者控除を次のとおり引き上げる。
① 未成年者控除 1年につき6万円→10万円
② 障害者控除 1年につき6万円(特別障害者については12万円)
→10万円(特別障害者については20万円)
(注)上記の改正は、平成27 年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用する。
(4)相続時精算課税制度の対象とならない贈与財産に係る贈与税の税率構造について、一定の見直しを行う。
(注)上記の改正は、平成27年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用する。
(5)相続時精算課税制度の適用要件について、次の見直しを行う。
① 受贈者の範囲に、20歳以上である孫(現行 推定相続人のみ)を追加する。
② 贈与者の年齢要件を60歳以上(現行 65歳以上)に引き下げる。
(注)上記の改正は、平成27年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用する。

5 事業承継税制
(1)非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、次の見直しを行う。
① 経営承継相続人等の要件のうち、非上場会社を経営していた被相続人の親族であることとする要件を撤廃する。
② 贈与税の納税猶予における贈与者の要件のうち、贈与時において認定会社の役員でないこととする要件について、贈与時において当該会社の代表権を有していないことに改める。
③ 役員である贈与者が、認定会社から給与の支給等を受けた場合であっても、贈与税の納税猶予の取消事由に該当しないこととする。
④ 納税猶予の取消事由に係る雇用確保要件について、経済産業大臣の認定の有効期間(5年間)における常時使用従業員数の平均が、相続開始時又は贈与時における常時使用従業員数の80%を下回ることとなった場合に緩和する。
⑤ 民事再生計画の認可決定等があった場合には、その時点における株式等の価額に基づき納税猶予税額を再計算し、当該再計算後の納税猶予税額について、納税猶予を継続する特例を創設する。
⑥ 納税猶予税額の計算において、被相続人の債務及び葬式費用を相続税の課税価格から控除する場合には、非上場株式等以外の財産の価額から控除することとする。
⑦ 株券不発行会社について、一定の要件を満たす場合には、株券の発行をしなくても、相続税・贈与税の納税猶予の適用を認めることとする。
⑧ 相続税等の申告書、継続届出書等に係る添付書類のうち、一定のものについては、提出を要しないこととする。
⑨ 雇用確保要件が満たされないために経済産業大臣の認定が取り消された場合において、納税猶予税額を納付しなければならないときは、延納又は物納の適用を選択することができることとする。
⑩ 経済産業大臣の認定の有効期間(5年間)の経過後に納税猶予税額の全部又は一部を納付する場合については、当該期間中の利子税を免除することとする。
⑪ 経済産業大臣による事前確認制度を廃止する。
⑫ 資産保有型会社・資産運用型会社に該当する認定会社等を通じて上場株式等(1銘柄につき、発行済株式等の総数等の100分の3以上)を保有する場合には、納税猶予税額の計算上、当該上場株式等相当額を算入しない。
⑬ 適用対象となる資産保有型会社・資産運用型会社の要件について、次のとおり所要の見直しを行う。
イ 常時使用従業員数が5人以上であることとする要件は、経営承継相続人等と生計を一にする親族以外の従業員数で判定する。
ロ 商品の販売・貸付け等を行っていることとする要件について、経営承継相続人等の同族関係者等に対する貸付けを除外する。
⑭ 納税猶予の取消事由である「総収入金額が零となった場合」について、総収入金額の範囲から営業外収益及び特別利益を除外する。
⑮ その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、所要の経過措置を講じた上、「1 相続税・贈与税の見直し」の施行の日(平成27 年1月1日)以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。
(2)その他の措置
① 本制度の活用を促進するため、より一層の普及及び啓発のための取組を行う。
② 相続財産に係る株式をその発行した非上場会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例の適用対象者の範囲に、相続税法等において相続又は遺贈により非上場株式を取得したものとみなされる個人を加える。
(注)上記の改正は、「1 相続税・贈与税の見直し」の施行の日(平成27年1月1日)以後に開始する相続又は遺贈により非上場株式を取得したものとみなされる個人について適用する。

6 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
(1)受贈者(30歳未満の者に限る。)の教育資金に充てるためにその直系尊属が金銭等を拠出し、金融機関(信託会社(信託銀行を含む。)、銀行及び金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者に限る。)をいう。)に信託等をした場合には、信託受益権の価額又は拠出された金銭等の額のうち受贈者1人につき1,500万円(学校等以外の者に支払われる金銭については、500万円を限度とする。)までの金額に相当する部分の価額については、平成25年4月1日から平成27年12月31日までの間に拠出されるものに限り、贈与税を課さないこととする。
(注)教育資金とは、文部科学大臣が定める次の金銭をいう。
① 学校等に支払われる入学金その他の金銭
② 学校等以外の者に支払われる金銭のうち一定のもの
(2)申告
受贈者は、本特例の適用を受けようとする旨等を記載した教育資金非課税申告書(仮称)を金融機関を経由し、受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
(3)払出しの確認等
受贈者は、払い出した金銭を教育資金の支払いに充当したことを証する書類を金融機関に提出しなければならない。
金融機関は、提出された書類により払い出された金銭が教育資金に充当されたことを確認し、その確認した金額を記録するとともに、当該書類及び記録を受贈者が30 歳に達した日の翌年3月15 日後6年を経過する日まで保存しなければならない。
(4)終了時
① 受贈者が30 歳に達した場合
イ 調書の提出
金融機関は、本特例の適用を受けて信託等がされた金銭等の合計金額(以下「非課税拠出額」という。)及び契約期間中に教育資金として払い出した金額(上記(3)により記録された金額とする。)の合計金額(学校等以外の者に支払われた金銭のうち500 万円を超える部分を除く。以下「教育資金支出額」という。)その他の事項を記載した調書を受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
ロ 残額の扱い
非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額については、受贈者が30歳に達した日に贈与があったものとして贈与税を課税する。
② 受贈者が死亡した場合
イ 調書の提出
金融機関は、受贈者の死亡を把握した場合には、その旨を記載した調書を受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
ロ 残額の扱い
非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額については、贈与税を課さない。

7 その他
(1)中小企業者に該当する内国法人の取締役等である個人でその内国法人の保証人であるものが、現にその内国法人の事業の用に供されている資産(有価証券を除く。以下同じ。)でその個人が所有しているものを、その内国法人に係る合理的な再生計画に基づき、平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間にその内国法人に贈与した場合には、次に掲げる要件を満たしているときに限り、一定の手続の下でその贈与によるみなし譲渡課税を適用しないこととする。
① その個人が、再生計画に基づき、その内国法人の債務の保証に係る保証債務の一部を履行していること。
② その再生計画に基づいて行われたその内国法人に対する資産の贈与及び保証債務の一部の履行後においても、その個人がその内国法人の債務の保証に係る保証債務を有していることが、その再生計画において見込まれていること。
(2)相続財産に係る株式をその発行した非上場会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例の適用対象者の範囲に、相続税法等において相続又は遺贈により非上場株式を取得したものとみなされる個人を加える。
(注)上記の改正は、平成27年1月1日以後に開始する相続又は遺贈により非上場株式を取得したものとみなされる個人について適用する。
(3)社会保険診療報酬の所得計算の特例について、適用対象者からその年の医業及び歯科医業に係る収入金額が7,000万円を超える者を除外する。(法人税についても同様とする。)。
(注)上記の改正は、個人は平成26年分以後の所得税について適用し、法人は平成25年4月1日以後に開始する事業年度について適用する。
(4)財産債務明細書に記載すべき公社債、株式並びに貸付信託、投資信託及び特定受益証券発行信託の受益権の価額を、その年12月31日における時価(時価の算定が困難な場合には、取得価額)とする。
(5)不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例措置について、その適用期限を5年延長した上、平成26 年4月1日以後に作成される文書に係る税率を軽減する。
(6)日本国内に住所を有しない個人で日本国籍を有しないものが、日本国内に住所を有する者から相続若しくは遺贈又は贈与により取得した国外財産を、相続税又は贈与税の課税対象に加える。
(注)上記の改正は、平成25 年4月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する国外財産に係る相続税又は贈与税について適用する。
(7)相続税の物納制度について、管理処分不適格財産の範囲に次の財産を加える。
① 地上権、賃借権その他の権利が設定されている不動産で、その権利を有する者が次に掲げる者であるもの
イ 暴力団員その他一定の者(以下「暴力団員等」という。)
ロ 暴力団員等が役員となっている法人
ハ 暴力団員等が事業活動を支配する者
② 暴力団員等が役員となっている法人又は暴力団員等が事業活動を支配する法人が発行した株式
(8)金銭又は有価証券の受取書のうち記載された受取金額が5万円未満(現行3万円未満)のものには、印紙税を課さないこととする。
(注)上記の改正は、平成26年4月1日以後に作成される受取書について適用
する。
(9)国内設備投資を促進するための税制措置の創設
青色申告書を提出する法人の平成25年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する各事業年度(設立事業年度を除く。)において取得等をした国内の事業の用に供する生産等設備で、その事業年度終了の日において有するものの取得価額の合計額が次の①及び②の金額を超える場合において、その生産等設備を構成する資産のうち機械装置をその法人の国内にある事業の用に供したときは、その取得価額の30%の特別償却とその取得価額の3%の税額控除との選択適用ができることとする。ただし、税額控除における控除税額は、当期の法人税額の20%を限度とする(所得税についても同様とする。)。
① その法人の有する減価償却資産につき当期の償却費として損金経理をした金額
② 前事業年度において取得等をした国内の事業の用に供する生産等設備の取得価額の合計額の110%相当額
(注1)生産等設備とは、その法人の製造業その他の事業の用に直接供される減価償却資産(無形固定資産及び生物を除く。)で構成されているものをいう。なお、本店、寄宿舎等の建物、事務用器具備品、乗用自動車、福利厚生施設等は、該当しない。
(注2)償却費として損金経理をした金額は、前事業年度の償却超過額等を除き、特別償却準備金として積み立てた金額を含む。
(10)企業による雇用・労働分配(給与等支給)を拡大するための税制措置の創設青色申告書を提出する法人が、平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、その法人の雇用者給与等支給増加額(雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額を控除した金額)の基準雇用者給与等支給額に対する割合が5%以上であるとき(次の①及び②の要件を満たす場合に限る。)は、その雇用者給与等支給増加額の10%の税額控除ができることとする。ただし、控除税額は、当期の法人税額の10%(中小企業者等については、20%)を限度とする(所得税についても同様とする。)。
① 雇用者給与等支給額が前事業年度の雇用者給与等支給額を下回らないこと
② 平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を下回らないこと
(注1)雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度(雇用促進税制)、復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度、避難解除区域等において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度又は下記3(1)②の制度との選択適用とする。
(注2)国内雇用者とは、法人の使用人(法人の役員及びその役員の特殊関係者を除く。)のうち法人の有する国内の事業所に勤務する雇用者をいう。
(注3)雇用者給与等支給額とは、各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいう。
(注4)基準雇用者給与等支給額とは、平成25 年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の直前の事業年度(基準事業年度)の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいう。
(11)商業・サービス業及び農林水産業を営む中小企業等の経営改善に向けた設備投資を促進するための税制措置の創設青色申告書を提出する中小企業等で経営改善に関する指導及び助言を受けたものが、平成2 年4月1日から平成27 年3月31日までの間に、その指導及び助言を受けて行う店舗の改修等に伴い器具備品及び建物附属設備の取得等をして指定事業の用に供した場合には、その取得価額の30%の特別償却とその取得価額の7%の税額控除との選択適用ができることとする。ただし、税額控除における控除税額は当期の法人税額の20%を限度とし、控除限度超過額は1年間の繰越しができる(所得税についても同様とする。)。
(注1)経営改善に関する指導及び助言とは、商工会議所、認定経営革新等支援機関等による法人の経営改善及びこれに必要な設備投資等に係る指導及び助言をいう。
(注2)対象となる器具備品は、1 台又は1 基の取得価額が30 万円以上のものとし、対象となる建物附属設備は、一の取得価額が60 万円以上のものとする。
(注3)指定事業とは、卸売業、小売業、サービス業及び農林水産業(これらのうち性風俗関連特殊営業及び風俗営業に該当する一定の事業を除く。)をいう。
(注4)税額控除の対象法人は、資本金の額等が3,000 万円以下の中小企業等に限る。
(12)雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度(雇用促進税制)について、税額控除限度額を増加雇用者数1人当たり40万円(現行20万円)に引き上げるほか、適用要件の判定の基礎となる雇用者の範囲について所要の措置を講ずる(所得税についても同様とする。)。
(13)中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律の廃止に伴い、次の措置を講ずる。
青色申告書を提出する中小企業者について平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間に再生計画認可の決定があったことに準ずる一定の事実が生じた場合で、かつ、2以上の金融機関等が有するその中小企業者に対する債権が債務処理に関する計画によって特定投資事業有限責任組合の組合財産となる場合において、その中小企業者が債務処理に関する計画に従って、資産の評価換えをし、又は債務の免除を受けたときは、資産の評価損益の計上又は期限切れ欠損金の損金算入ができることとする。
(注)特定投資事業有限責任組合とは、一定の基準に適合する中小企業者の事業の再生に資する投資事業有限責任組合として内閣総理大臣(金融庁長官)及び経済産業大臣が指定するものをいう。
(14)交際費等の損金不算入制度における中小法人に係る損金算入の特例について、定額控除限度額を800 万円(現行600 万円)に引き上げるとともに、定額控除限度額までの金額の損金不算入措置(現行10%)を廃止する。
(15)連結法人が連結子法人株式の譲渡を行う場合等においてその譲渡直前に行う連結子法人株式の帳簿価額の修正(投資簿価修正)について、その修正事由がみなし配当事由によるものである場合における投資簿価修正額の計算について所要の整備を行う。
(16)再生計画認可の決定があったことに準ずる一定の事実が生じた場合における資産の評価損益の計上について、評価損益の計上に適さない資産の範囲から少額資産を除外し、評価差額が1,000万円未満の資産等であってもその評価損益を計上できることとする。
(17)青色申告書を提出しなかった事業年度の災害損失欠損金額の繰越控除制度について、災害損失欠損金額が生じた事業年度の確定申告書において災害損失の額の計算に関する明細の記載がない場合であっても、その後の修正申告書又は更正請求書の提出の際にその明細を記載した書類を添付しているときは、この制度の適用があることを明確化する。
(18)民事再生等一定の事実による債務免除等があった場合に青色欠損金等の控除後に繰越欠損金を損金算入できる制度について、青色欠損金等の控除前の所得金額が債務免除益相当額を超える場合における損金算入額は、青色欠損金等の控除後の所得金額からその超える部分の金額の20%相当額を減算した金額を限度とする。ただし、中小法人等については、現行どおりとする。
(19)特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入制度等の制限対象について、次の見直しを行う。
① 特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入制度について、対象となる特定資産の範囲に、特定適格組織再編成等を行った法人がその特定適格組織再編成等の日以前に行われた他の特定適格組織再編成等によりその法人と支配関係がある他の法人から移転を受けた一定の資産を加える。
② 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度について、支配関係がある法人間でみなし共同事業要件を満たさない適格合併等が行われた場合において引継ぎが制限される被合併法人等の欠損金及びないものとされる合併法人等の欠損金の範囲に、次の金額を加える。
イ その適格合併等を行った法人の欠損金額のうち、その法人がその適格合併等の日前に行われたみなし共同事業要件を満たさない適格組織再編成等によりその法人と支配関係がある他の法人から移転を受けた一定の資産の譲渡等損失により生じた欠損金額とされる部分の金額
ロ その適格合併等を行った法人の欠損金額のうち、その法人がその適格合併等の日前に行われたみなし共同事業要件を満たさない適格合併等によりその法人と支配関係がある他の法人から引き継いだ一定の欠損金額で特定資産譲渡等損失額から成る部分の金額に相当する金額
(注)上記①及び②の改正は、平成25 年4月1日以後に他の法人との間に支配関係があることとなる法人に係る資産及び欠損金について適用する。
(20)法人税の額から控除する所得税の額の計算について、公社債等に係る所得に対する課税の見直しに合わせて、公社債の利子、公社債投資信託の収益の分配等に対する所得税の額の所有期間による按分を廃止し、その全額を控除する。
(21)連結特定同族会社の留保金課税制度について、連結留保金額に連結法人間で行われた適格現物分配に係る移転資産の価額を含めることとする。
(22)消費税の税額計算における端数処理の特例について、当分の間の措置として、税抜価格を基礎として計算した消費税等相当額を受領する一定の場合を加える。
(注)上記の改正は、平成26年4月1日以後に行われる課税資産の譲渡等について適用する。
(23)延滞税等の見直し
延滞税の割合は、各年の特例基準割合が年7.3%に満たない場合には、その年中においては、次に掲げる延滞税の区分に応じ、それぞれ次に定める割合とする。
① 年14.6%の割合の延滞税 当該特例基準割合に年7.3%を加算した割合
② 年7.3%の割合の延滞税 当該特例基準割合に年1%を加算した割合(当該加算した割合が年7.3%を超える場合には、年7.3%の割合)
また、納税の猶予等の適用を受けた場合(延滞税の全額が免除される場合を除く。)の延滞税については、当該納税の猶予等をした期間に対応する延滞税の額のうち、当該延滞税の割合が特例基準割合であるとした場合における延滞税の額を超える部分の金額を免除する。
(注)「特例基準割合」とは、各年の前々年の10 月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12 で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいう。
(注)上記の改正は、平成26年1月1日以後の期間に対応する延滞税等について適用する。

この記事は 2013年 1 月 25日(金曜日) に投稿されました。
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