特定資産の買換え特例の改正

Q 特定資産の買換え特例のうち、9号買換えの内容が改正になったそうですが、その内容を教えて下さい。

A 特定資産の買換え特例の9号買換えとは、国内にある所有期間10年超の長期所有する土地等、建物又は構築物を譲渡して、国内にある土地等、建物、構築物若しくは機械装置等を取得して1年以内に事業供用等した場合に圧縮限度額(譲渡対価のうち買換資産の取得価額×差益割合×80%)の範囲内で損金算入を認める制度で、これまで最も適用しやすいものとされてきました。
平成24年度税制改正で、当該買換えの特例は、その適用期限が3年延長され、9号の買換え資産が土地等である場合の対象資産について、事業活動に活用される建物等の敷地の用に供されるもので、かつ300㎡以上であるものに限定され、その適用範囲が大幅に縮小されましたので特に注意が必要です。なお、この改正は、平成24年1月1日以後に譲渡、同日以後に取得する場合の買換資産について適用されます。
(1) 買換え資産の範囲
① この改正により、9号買換えに係る買換資産が土地等の場合には、やむを得ない場合を除いて、特定施設の敷地用に供される土地等で、かつ、その面積が300㎡以上のものであることが必要となりました。また、買い換えた土地等の面積が譲渡した土地等の面積の5倍を超える場合には、従来どおり、その超える面積部分に対応する金額は買換資産の取得価額から除くことになりますので要注意です。
② 特定施設とは、事務所、工場、研究所、営業所、店舗、倉庫などの事業用施設が該当し、福利厚生施設は除かれます。福利厚生施設には、社宅、寮、宿泊所、診療所、保養所、体育館、食堂などの施設が含まれます。
③ また、特定施設の敷地用に供される土地等とは、土地又は土地の上に存する権利を取得した時において、現に特定施設の敷地の用に供されているもの及び特定施設の敷地の用に供されることが確実であると認められるものとされています。
④ 敷地用として確実と認められるものについては、その土地等の取得時に特定施設の敷地の用に供することとする具体的な計画があるものとされています。そのため、取得時に特定施設の建設等を計画していることを証する資料等を証拠書類として会社に保存する必要があります。
(2) 特別勘定による課税の繰延べ
① 特定資産の買換え特例は、譲渡事業年度内に買換資産を取得し、取得日以後1年以内に事業供用等することが原則ですが、買換資産である建物等の建設が長期化し、譲渡事業年度内に買換資産を取得できない場合でも、譲渡事業年度終了日から1年以内(やむを得ない事情がある場合には税務署長の認定により3年以内)に買換資産を取得する見込みで、取得日以後1年以内に事業供用の見込みであれば、特別勘定を設定することができます。
② 特別勘定を設定することにより特別勘定繰入限度額(譲渡対価のうち取得見込みの買換資産の額×差益割合×80%)の範囲内で損金算入し、課税を繰り延べることができます。その後、実際に買換資産を取得した際に、その買換資産について圧縮記帳を行い、譲渡事業年度で設定した特別勘定を買換資産の取得事業年度で取り崩し、益金算入することになります。また、買換資産を取得できなかった場合にも、特別勘定を取り崩し、益金算入しなければなりません。
③ 特別勘定の損金算入の適用を受けるためには、確定申告書等にその明細の記載及び取得見込年月日や取得見込みの買換資産の内容を記載した書類等の添付が必要となります。

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この記事は 2013年 1 月 10日(木曜日) に投稿されました。
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