経営方針発表会

本日、弊社関与先M社の新年度経営方針発表会に参加した。M社は創業して10期の中堅企業で、西日本を中心にこれまで順調に成長を果たしてきた。同社は株式公開(IPO)を目指して準備を進めており、弊社も内部統制構築の観点から様々な支援を行っている。本日は、品川駅近くのMS日本本社の最上階エグゼクティブルームにおいて、多くの来賓を招いて行われた。当該会場及び周辺は九州には存在しないような素晴らしいロケーションであり、発表会はとても張り詰めた緊張感の中、4時間以上の行程で行われた。

本日の発表会でM社社長は、新しい価値の創造と業界革新への寄与の重要性を説明し、その中で同社がどのような役割を担っていくべきか、そのグランドビジョンをとても熱く語った。筆者は、M社の創業間もない頃からその成長を見続けてきたが、継続的に付加価値を創造していく企業姿勢は素晴らしく、本日の社長や幹部社員の発表は情熱と魂がこもっていた。これからも同社は成長を続け、当該業界を代表する企業へと飛躍していくことを確信している。

私は「外部環境の変化」をテーマに講演させていただいた。概略は以下のとおりである。

日本では金融機関による国債の保有比率が極めて高いため、これ以上は引き受けをすることができない状況である。徐々に外国の機関投資家による保有比率が高まっており、国債暴落回避のため日銀が引き受けるしかない。金利が1%上がると大手金融機関、地方銀行、厚生年金基金、郵貯、簡保、生保その他の金融機関を合わせると40兆円以上の損失が生じる計算となるため、簡単に金利を上げることもできない。

2013年3月末に金融円滑法の終了したことで不良債権の激増が懸念されている。今年後半には、金融機関による貸し剥がしと金利上昇圧力は不可避となり、倒産企業の大幅な増加につながる見込みである。そのような中、日銀黒田新総裁による異次元の金融緩和が発表された。それによると日銀は毎月7兆5千億円の国債購入を行い、更には長期国債を積極的に引受け、2年間で2倍に拡大させ、資金供給量を2倍にするとしている。上場投資信託(ETF)などのリスク資産の購入を拡大し、2年間で2%の物価目標を達成するという。この結果、短期的には長期金利を引下げ、国債暴落リスクを抑制できるだろうが、思惑通りに需要が伸びなかった場合の副作用として、中長期的には国債暴落とハイパーインフレのリスクが高まったと思って間違いないだろう。

また、アベノミクスによる円安誘導は、一時的な公共工事などのばら撒きを増加させ、輸出企業の業績回復、外国の機関投資家の日本買い、日本の個人投資家の活況など、短期的には景況感は盛り返すだろうが、実体経済の波及効果は限定的だと思われる。

アメリカでは、昨年末の財政の崖問題回避のためFRBの金融緩和が継続している。そのような中、シェールガス革命によるエネルギー政策の大転換が行われようとしている。オバマ大統領は、製造業の国内回帰の戦略をとっており、世界のパワーバランスに大きな影響が生じさせ、もしかすると大きなデフレ圧力となるかもしれない。また、EUの経済不況は深刻なため、ECBによる無制限の金融緩和をもってしても全く本質的な解決はしていない。ギリシャ問題、キプロス問題が、イタリア・スペインなどの大国にいずれ波及することは不可避で、ドイツ依存の経済構造はいずれ崩壊の危機になるのかもしれない。

中国の経済不況は深刻である。人件費高騰で生産の競争優位を失い、鉄道公共工事による景気対策は完全に失敗、まだ顕在化していない不良債権問題や、尖閣諸島問題により日本企業の中国離れも深刻だ。また、通信大手の華為技術を排除する動きなどアメリカによる中国制裁が加速すれば更に経済不況が深刻化していく可能性がある。一方で中東では、イラン制裁、イスラエルやシリア問題などいつ本格的な中東戦争が勃発してもおかしくない状況であり、それが再び原油価格高騰の引き金になるかもしれない。アメリカのシェールガスが本格的に普及していくとその影響は甚大で、中東、ロシア、中国などの国々は先行き不透明で不安定な経済に直面していると思って間違いないだろう。

日本、アメリカ及びEUなどが実施している世界規模の金融緩和は、不動産、株式、新興国等でバブルを引き起こす可能性が高い。これから、ジャック・アタリが言うような国家債務危機が顕在化するのかもしれない。ハイパーインフレによる実質的なデフォルト(強制リセット)の可能性が高く、グローバル資本主義においては、世界経済はつながっているので対岸の火事ではない。世界大恐慌が、日本、EU、中国や中東などを震源地としていつ発生しても不思議ではない。

2013~2015年に団塊世代が65歳に達し、「現役世代の減少」と「高齢者の激増」という大きな潮目を迎える。すさまじい福祉需要が起こるだろうが、一方で社会保障費の増加に歯止めがかからず、国内需要の減少は不可避で、更に国民の可処分所得の減少傾向は続くものと予想されている。国債が発行できなくなったら、農業問題、教育問題、医療費・年金などの社会保障費問題、公務員・特別会計・特殊法人等の削減問題、郵貯問題、電力会社の再編、再生可能エネルギーへの転換、金融機関の問題、国の信用保証問題、企業年金問題など待ったなしになる。おそらく国債暴落のタイミングで、日本の本質的な問題解決に着手されることになるだろう。

現在は宇宙の法則が働きやすい周期でパラダイム転換の真っ直中であることを自覚しなければならない。良いことをすれば良い結果が、悪いことをすれば悪い結果が顕在化しやすい。ダーウィンは、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である。」と述べているが、これだけ不安定な時代においては、勉強し、個人や組織に付加価値を創出し続けるしかない成功する道はない。成長こそが唯一の道であり、安心したり、楽を感じたりすることは成長が止まっていることの証と考えなければならない。不安に対して安心を感じれば、楽に成功できる。人生そのものをもっと大きなディール(事柄・出来事)にすべきである。人生は、精一杯やるのか最低限の努力で済ますのかの選択である。また、激動時はモチベーションの維持が大事である。明るいこと、前向きであること、能動的であること、元気であること、ピンチはチャンス(機会)と思えること、困難やストレスは成長過程であること、変化はチャンスと思えること、口先だけではなく、行動(結果)を選択できること、できない理由ではなく、どのようにしたらできるかと考えられること、常に困難な方を選択ができることなど、自己実現・成長(目標)を追求することが最も重要であることを肝に銘じる必要があるだろう。

この記事は 2013年 4 月 5日(金曜日) に投稿されました。
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