~変革の時~
中堅行員との勉強会開催
本日17時より、某金融機関に対する勉強会を実施した。
この勉強会は、福岡エリアの中堅行員を中心に相談事例を交えて月1回のペースで行っている。実際の相談事例や提案事例を基に金融機関や会計専門家として、これからどのように関与していくべきかについて、活発な議論が展開された。
今回のテーマは、「事業承継対策の提案事例」であった。
事業承継とは、会社経営を次の世代にバトンタッチすることで、経営者にとって避けては通れないものである。事業承継の成否が会社の継続性に影響し、関連する数多くの人々の人生を大きく左右することから、経営者一人の自我を通してうまくいくものではない。各種の利害調整や配慮などがあって、初めて成功するものと言える。
近年、中小企業経営者の高齢化が進展する中、特に親族内における後継者の確保がますます困難になっている。また、中小企業の雇用や高度な技術の確保を図るため事業承継を円滑化することが一層重要な課題となっている。
継続企業を前提とすると言っても、現実的には、事業を継続する会社としない会社に分類される。後者は、解散又は休眠等という選択を採るが、利益が蓄積されていれば、最終的に残余財産の分配金として株主に配当される。
個人株主が配当を受けた場合には配当所得となり、最高で43.6%の課税が生じるため、解散という選択肢を躊躇するケースもある。また、経営者が高齢となり、事業譲渡または清算してリタイヤしたいと思っているが、多額の借入金とその連帯保証及び多くの従業員を抱え、なかなか辞められない経営者が圧倒的に多いのも事実だ。
事業承継の方法には、(1)親族内承継、(2)従業員等への承継、(3)M&Aの3つがある。更に後継者に株式を譲渡し完全に経営権を承継させるケースと、株式は所有したままで、経営と所有を分離させ、経営を従業員等の第三者に委託するケースが考えられる。
いずれにしても会社経営者の責任として、企業継続を最優先し、社会貢献の観点から事業や雇用継続を第一に考え、頑なに親族内承継に拘らないで、ベストな承継方法を選択し、各種の利害調整を図っていくべきであろう。
事業承継対策の提案においては、経営戦略等との整合性、全体最適、長期的な視点、各種利害調整、税務リスクの軽減など全体バランスを重視し、結果として、企業継続や成長を最優先して行うべきであると考える。