~変革の時~ 
YCAビジネススクールⅡ 第19回

本日10時より、YCAビジネススクールⅡが開催された。
前段における経営戦略等の発表については、小売業A社の部長Y氏が行った。

耐久消費財を販売するA社は、創業25期目の中堅企業であるが、独自のビジネスモデルにより年商80億円以上とこれまで順調に成長を果たし、非常に潤沢な純資産を蓄積してきた。しかし、インターネットの急速な普及や関係法令等の改正など外部環境の急激な変化に十分に対応できず、近年売上が大きく減少してきており、経営改革まで踏み込んだ抜本的な環境適応に迫られている。

今回の発表でY氏は、A社における成功要因を分析し、そのビジネスモデルと経営戦略について具体的に説明を行った。併せて、同社にとって好ましくない内部の状況を具体的に挙げ、その原因を深く掘り下げることで根本にある原因の仮説を立て、その対応策について発表した。実際に各部署の担当者に対してヒアリングを実施し、それに基づいた精緻な現状分析が行われており、大変参考になった。

昨年のリーマンショック以降の急激な景気悪化は、従来におけるアメリカの購買力に依存した経済から、内需主導又は東アジア圏を中心とした経済への転換の必要性を象徴している。未曾有の経済危機である現在の経済状況に対して、楽観的すぎるのは非常に危険であることを、経営者は認識しておくべきだ。

いったん収縮した経済が短期的に回復する可能性は低い。その縮小した経済とセーフティネット緊急融資等の政策によって維持された供給過剰の状態は今後も継続するものと見込まれる。従って、厳しい競争を前提にした経営戦略に、早急に転換しなければならない。今こそ、無駄や贅肉を削ぎ落とし、顧客第一主義で、本当に社会貢献できる企業に転換させるための改革を行う絶好のチャンスである。ただし、経営改革は、経営者自身がリーダーシップを取って断行しなければ、決して達成できないことを肝に銘じるべきであろう。

後段のテーマは、「店舗・販売管理」についてであった。

多店舗や地域ごとに支店等を設けて展開する企業では拠点数が増えれば増えるほど、業績低下、資金繰り悪化、モラール低下や不祥事等といった状況に陥り易くなるため、より一層、組織的マネジメントを重視する必要性がある。
組織化とは、端的に言えば、分業化とそれを管理統制する仕組みの構築である。一拠点の組織でも完全に管理統制するのは難しい。当然、多店舗では更に困難であることを前提に、計画的に組織を構築していかなければならない。ヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源を適切に管理統制していくことが重要な課題となり、業務の標準化・マニュアル化、会議のマネジメント、適切なモニタリングの仕組み、権限委譲を前提した中長期的な店長等の人材開発計画など、戦略的な経営を実践する必要がある。強い成長の誘惑で成りゆき的に出店し、企業規模を拡大しても組織が不安定になり弱体化するだけであり、それは成長ではなく、単なる膨張であろう。

この記事は 2009年 10 月 10日(土曜日) に投稿されました。
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