~変革の時~ 
若手行員との勉強会開催

本日19時より、弊社において某金融機関の若手行員に対する勉強会を開催した。今回も多数の参加で、最後まで前向きな議論が交わされた。
この勉強会は、弊社が親交のある中堅行員が中心となって、将来同行を背負って立つ人材育成が目的で月一回のペースで行われている。

今回は、「実践的な財務諸表の見方・考え方」の第5回目で、財務分析による計数管理のポイントを解説した。

会社経営者は、経営判断のため計数管理を徹底する必要がある。業界ごとに管理すべき計数は異なるが、重要項目はできるだけ詳細に分解・解析し、会社の正確な状況把握に努めるべきである。

財務分析の観点には、(1)流動性分析 (2)収益性分析 (3)生産性分析 (4)成長性分析 (5)損益分岐点分析などがある。流動性分析は、更に静態的分析としての短期安全性分析、長期安全性分析、資金調達状況の分析に、動態的分析としての回転率・回転期間による分析、資金表による分析等に分類される。収益性分析は、売上高利益率、資本利益率、資本回転率に分解される。一般的な中小・中堅規模の会社では、フローとしての売上高利益率とストックとして短期安全性分析を重視し、その他の経営指標を月次決算にて活用しているケースは稀である。

企業防衛の観点から事業継続を重視すれば、会社の問題点や外部環境の変化などで重大な影響を及ぼす可能性があるものは、月次決算において確実にモニタリングし、その状況把握に努めなければならない。財務分析においては、それぞれの分析目的に適合した経営比率を計算し、その数値の良否を評価しながら、企業の問題点を分析していく。この場合、単体での全体分析では正確に問題点が浮き彫りにならないことを留意すべきである。そのため、部門別、支店別、商品別や物件別などに分解し、かつ、同一企業における期間比較、特定の同業他社との比較、同業種平均との比較を行うことで、単体や全体では見えない問題点を抽出するのである。そして、最後に各種問題点や課題を抽出後、改善策の検討を行うことになる。

後段では、公表されている不動産関係の上場会社、数社における過去3年間の財務諸表及びその財務分析による経営指標に基づいて、議論を展開した。その中で特に記憶に新しい数百億円の経常利益を計上した直後に、倒産した数社の特徴や原因についての分析と解説を行った。このように、期間比較や同業他社との相対比較を行うと問題点や課題が見えてくる。また、業界の特殊性や外部環境の変化に対する対応や運営ができている会社とそうでない会社も明確となる。

不動産業界においては、在庫している販売用不動産の価額変動は、市場の需給関係以外の要素として、投機による部分が大きいのが特徴だ。また、借入れによるレバレッジを効かせるため、相対的に債務過多となりやすい。そこで、自助努力ではコントロールできない2つの外部環境(投機要素・金融機関等の融資姿勢)の変化を常に意識して経営しなければならないのである。そのため、例え相場が3割程度下落し、金融機関が回収姿勢に切り替わったとしても資金ショートしない金額を、在庫や短期借入金の上限額として設定するなどある程度のバッファを持たせた上で、在庫回転率、交差比率や鮮度管理などを併せて保守的な計数管理を行う必要があろう。

この記事は 2009年 11 月 17日(火曜日) に投稿されました。
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