~変革の時~
YCAビジネススクールⅢ 第34回

本日10時より、YCAビジネススクールⅢが開催された。

前半の発表は、惣菜の多店舗販売を営むC社の代表取締役T氏が行った。同社は四国に本店を置く優良な中堅企業の九州事業部を分離独立して設立した会社である。T氏は、新会社の中期事業計画における経営方針及び経営ビジョン、マーケティング戦略等について、詳細に説明した。

C社の業界でのポジショニングを説明し、競合他社との差別化及び独自化のポイントを解説した。基本的には、競争しないニッチ戦略をとっており、他社が模倣困難な競争優位を追求している。本日も多くのビジネスパーソンが参加していたが、T氏が語るマーケティング戦略は非常にバランスが取れて洗練されており、プレゼン能力も高く、一様に発表内容に感動していた。経営者は、会社の理念や方向性を従業員に対して明確に示さなければならないが、聴く者にとても分かりやすくイメージさせるT氏のプレゼン手法は大きな力であるのは間違いない。筆者も参考にしていきたいと思った。

後段は、船井幸雄氏のアドバイザーとして知られる朝倉慶氏の新著「もうこれは世界大恐慌」の内容を基に、今後想定される経済危機に対して経営者としてどのように対峙し、越えていくかについて討議を行った。

同著の冒頭において、2012年を大波乱の幕開けとしてイランの核兵器開発に伴う中東情勢の危機的状況を取り上げている。イランによるホルズム海峡封鎖の事態ともなれば、原油価格高騰は避けられず、同国より約10%輸入している日本は間違いなく経済的に大打撃を受けることになる。福島原発事故後ほぼすべての原発がストツプした結果、日本における原油の需要量は3倍になっており、昨年、30年ぶりの貿易赤字に転落した。朝倉氏はこれから全世界が不況下における大インフレとなり、金利が満遍なく上昇するものと予想している。

ユーロの崩壊過程はすでにエンドゲームに入っており、ギリシャはユーロを離脱し、ユーロは崩壊するとしている。ユーロ圏すべての国債は暴落し、また、ドイツやアメリカの銀行がCDSの引き受け手となっているケースが多いため、金融機関大手に飛び火するのは必死の状況であり、ユーロ崩壊から世界大恐慌が始まると予測している。昨年末、イタリア国債急落でユーロ危機は一気に深刻化したが、イタリアが破綻すればユーロ崩壊は確実となろう。

米国FRBは市場からの圧力でQE3に追い込まれ、ドル供給によるインフレ政策を行うだろうが、景気の低下は免れないとしている。反格差デモでは1%の超富裕層が富を独占していることが問題となったことは記憶に新しい。また、アメリカでは学生ローンの破綻が大問題になっているが、若者の失業率17.7%と非常に高く、学生ローンの残高は過去10年間で7倍の約80兆円にも膨れ上がっている。中国をはじめとする世界中の景気対策がもはや打てない現状では、もはやケインズ経済学は通用しないだろう。

世界的な国債下落の流れが密かに進んでいる。日本国債は米国債と連動して動くため、アメリカ国債の金利が5%に上がれば、自動的に3%くらいにはなるだろう。メガバンクは国債投資で利益を稼いでおり、ここ数年で国債など有価証券の割合は13%も増加した一方、貸出割合は11%も下落している。現在、国債の暴落に対応できる金融機関は皆無であり、世界の破滅的なインフレ誘導により金融の大混乱から資本主義は崩壊へと向かっているのかもしれない。同著では、いま世界は旧ソ連崩壊前夜と同じ状況に陥っており、世界の銀行システムの破綻が迫っていると締め括っている。

非常に厳しい内容の経済予測であるが、昨年の東日本大震災や福島原発事故など、これまでありえないとされたことが連続して起きている。先日、東京大学地震研究所がこれから4年以内にマグニチュード7級の首都直下型地震が発生する確率を70%以上と発表したが、朝倉氏の経済予測もこれに近いくらいのイメージで捉えるべきではなかろうか。過去2度のパラダイム転換時(明治維新・第二次世界大戦後)にどのようなことが起き、どのようにして人々は乗り越えてきたのか。過去の歴史を振り返ってみると、大きな逆境こそ大きな成長機会であるのは間違いない。現実から逃げ出さずにきちんと正面から対峙して、正しい考え方で、正しい行動を選択すれば、必ずや大きく成長できるものと確信している。

この記事は 2012年 1 月 28日(土曜日) に投稿されました。
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