子会社支援等
商工会議所NEWSの9月号税務Q&Aに「子会社支援等」が掲載されましたのでご紹介します。
未曾有の危機の中、様々な業界再編や中堅企業を含む各グループ会社の整理統合が加速している。弊社においても、常に多数の組織再編案件が進行している。
親会社による業績不振の子会社への対応として、解散、合併や事業譲渡などによる整理又は経営再建等の方法が考えられる。
子会社に対し債権放棄等を行った場合には、原則として寄附金課税の対象となるが、下記Ⅰ及びⅡのようなケースでは寄附金に該当しないとされている。
Ⅰ 子会社等を整理する場合の損失負担等
法人がその子会社等の解散、経営権の譲渡等に伴い、その子会社等のために債務の引受けその他の損失負担又は債権放棄等をした場合において、その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになることが社会通念上明らかであると認められるため、やむを得ずその損失負担等をするに至った等相当な理由があると認められるときは、その損失負担等の額は、寄附金の額に該当しない。
(注) 子会社等には、当該法人と資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有する者が含まれる。
Ⅱ 子会社等を再建する場合の無利息貸付け等
法人がその子会社等に対して無償若しくは通常の利率よりも低い利率での金銭の貸付け又は債権放棄等をした場合において、その無利息貸付け等が、例えば業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等相当な理由があると認められるときは、その供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しない。
Ⅲ 経済合理性の判断の留意点
子会社等を整理又は再建する場合の損失負担等が経済合理性を有しているか否かは、次のような点について、総合的に検討することになる。
(1) 損失負担等を受ける者は、「子会社等」に該当するか。
(2) 子会社等は経営危機に陥っているか(倒産の危機にあるか)。
(3) 損失負担等を行うことは相当であるか(支援者にとって相当な理由はあるか)。
(4) 損失負担等の額(支援額)は合理的であるか(過剰支援になっていないか)。
(5) 整理・再建管理はなされているか(その後の子会社等の立ち直り状況に応じて支援額を見直すこととされているか)。
(6) 損失負担等をする支援者の範囲は相当であるか(特定の債権者等が意図的に加わっていないなどの恣意性がないか)。
(7) 損失負担等の額の割合は合理的であるか(特定の債権者だけが不当に負担を重くし又は免れていないか)。
(注) 上記(2)については、倒産の危機に至らないまでも経営成績が悪いなど、放置した場合には今後より大きな損失を蒙ることが社会通念上明らかであるかを検討することになる。
上記(5)については、子会社等の整理の場合には、一般的にその必要ないが、整理に長期間を要するときは、その整理計画の実施状況の管理を行うこととしているかどうかを検討することになる。
Ⅳ 事前相談
支援者の損失負担等の額が寄附金に該当するか否かが、支援者における所得計算に多大な影響を及ぼすこととなるため、再建支援等事案の損失負担等の税務上の取扱いについては、各国税局の審理課(審理官)等で事前相談を受け付けている。特に曖昧なケースでは、税務リスク軽減の観点から積極的に活用すべきである。