~変革の時~
若手行員との勉強会開催
本日19時より、弊社において某金融機関の若手行員に対する勉強会を開催した。今回も多数の参加で、最後まで前向きな議論が交わされた。
この勉強会は、弊社が親交のある中堅行員が中心となって、将来同行を背負って立つ人材育成が目的で月一回のペースで行われている。
各参加者は、積極的に自己啓発を行っており、発言内容も前向き、かつ成長指向であるので、毎回とてもいい刺激を受けている。
今回のテーマは、「実践的な財務諸表の見方・考え方」の第4回目であった。
(1) 経営者は、財務諸表を戦略的に捉える必要がある。特に経営戦略を意識した配分バランスを重視すべきである。売上高と付加価値、人件費、投資、在庫、設備や法人税等などについて、常に最適な配分を追及しなければならない。
(2) 付加価値は事業そのものの結果であるので、できる限り細分化し、常時その発生場所や競争力の源泉を分析し、継続的な改善を行うことにより、持続的な競争優位を構築していくことが重要である。
(3) 人件費のうち、役員報酬と賞与は変動費と捉え、現在のように景気悪化の影響を受け、企業業績が悪化した場合には、まず代表者に対する報酬を減額して利益確保できるようにしておきたい。更にコスト削減が必要な場合、賞与やその他の経費削減、人員削減等を断行しなければならないこともあるので、利害関係者のコンセンサスを得るためにもそれくらいの覚悟が必要だ。そのため、代表者個人として多めに資金を蓄えておき、2年くらい無報酬でも生活できるようにしておくのが望ましいものと考える。
(4) 投資と利益のバランスも重要となる。税引後の利益が留保されると自己資本の厚みとなり、財務バランスを安定させ、業績悪化や環境変化に対する緩衝材として企業の継続性の高めてくれる。そのため、法人税等の税金は会社継続や社会貢献等のための必要コストと考えるべきで、払わないオペレーションは会社の継続性を著しく毀損させることを理解しておくべきであろう。また、投資は、将来の利益の源であり、設備投資、人材投資、研究開発などイノベーションを追求しつづけなければならない。つまり、短期の利益追求はかえってバランスを崩す結果となりかねない。設備投資に対する回収計算は減価償却により行われるので、経営的にはやはり償却後利益が重視されるべきだ。借入金の返済原資としての償却前利益とは明確に区別して捉えるべきである。
(5) 各財務諸表の関係を強く意識しなければならない。間接法のキャッシュ・フロー計算書においては、貸借対照表における現金等同等物以外の資産(売掛金、在庫、固定資産など)や負債(買掛金、未払金、借入金、引当金など)の増減が、キャッシュ・フローの増減に連動するため、経営的にはその期間比較が特に重要となり、損益計算書では見えない収支結果の原因を明らかにしてくれる。月次決算では、損益計算書と並行・重視して見ていくべきであろう。また、減価償却は支出を伴わない費用であり、収支的にはプラスであり、返済原資を見る場合には償却前利益(EBITDA)が重視される。
(6) 資金繰り表による収支管理を徹底する必要がある。財務諸表が主に過去の結果を表すものであるが、会社を継続させるためにはその血液であるキャッシュを円滑に循環させなければならない。会社倒産の危機を確実に回避するためにも、将来6ヶ月間程度の資金繰り表作成は経営者の責務と言える。
(7) 経営判断に必要な計数管理を徹底する必要がある。業種ごとに管理すべき計数は異なるが重要項目はできるだけ詳細に分解・解析し、会社の正確な状況把握に努めるべきであろう。小売・卸売業や不動産業等において多くの在庫が必要となる場合には、例え相場が3割程度下落したとしても資金ショートしない額を在庫や短期借入金の上限額として設定するなど、在庫回転率、交差比率や鮮度管理と併せて保守的な計数管理が重要となる。