~変革の時~
金融機関共催事例研究会

本日17時より、某金融機関と共同で事例研究会を開催した。
同金融機関は、会社の事業承継・経営合理化などの問題・課題解決について積極的に提案を行っており、当研究会では情報交換を兼ねて、様々な事案や提案内容について議論を重ねている。

今回のテーマは、「経営計画策定のための問題点の抽出」であった。

まず実際の事例について、既に回収できている資料及び代表者等からのヒアリング内容を基に、マインドマップを使って、グループ会社概要、親族図、関係者、事業用資産、組織、ビジネスモデル及び財務状況等を俯瞰した。それから、経営戦略、組織戦略及びマーケティング戦略上の問題点について、仮説を設定することでその根底にある原因を解明し、その抜本的解決を図るため中期経営計画に落とし込むことを想定して協議を行った。プロジェクターにて可視化することにより、参加者の発言が活性化され、積極的な議論が展開された。

当該事例は、製造業を営む優良な中堅規模の会社であるが、リーマンショック以降の経済危機の影響で売上高が大幅に減少した。営業利益、経常利益及び当期純利益共に大きな赤字となり、抜本的な経営改革が急務となっている。特に製造業においては、売上高が半減している会社は決して珍しくない。一時的な業績低迷であれば改善レベルの対策で対応できるかもしれないが、現在直面している経済危機の出口は一向に見えず、とても楽観視できる状況ではないだろう。

会社経営者の最も重要な責務が、会社継続と雇用継続によって社会に貢献し続けることである。しかし、縮小均衡を前提とした経営改革を断行できなければ存亡の危機にある中小・中堅企業は非常に多い。仮に売上高が2割程度下がったとしても、変動費の削減で対応できるかもしれないが、今回の経済危機のように半減した場合には、固定費削減を前提とした抜本的な事業の見直しを行わなければ、会社継続そのものが困難になるだろう。

固定費削減は、貸借対照表に働きかけていくことが必要であり、事業撤退、設備廃棄、工場・事業所・店舗などの閉鎖、人員削減、外注の内生化、不要資産の売却による有利子負債の圧縮など非常に大きな痛みを伴うものである。あくまでも経営改革の目的はコスト削減ではなく、事業再構築を行うことで、経営資源を強みに集中させ、厳しい経営環境下でも事業を確実に存続させていくことだと肝に銘じなければならない。そのためには、従業員との話合い等によるコンセンサスが重要であり、それが不十分であればモラル低下によって更なる業績低迷を招きかねない。経営者は、自ら先頭に立って、不退転の決意で変革やイノベーションに取り組んでいく姿勢を見せなければならない。

本日、JALが会社更生手続きの開始決定を受けたが、明確な経営戦略の基、経営陣・従業員が一丸となって、積極的に固定費削減に取り組んでいたら、このような最悪の事態にはならなかっただろう。決して対岸の火事ではないことを肝に銘じたい。

この記事は 2010年 1 月 19日(火曜日) に投稿されました。
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