~変革の時~
YCAビジネススクールⅢ 第14回
本日10時より、YCAビジネススクールⅢが開催された。
前段におけるテーマは、「世界と日本の経済動向について」であった。
昨日、経済アナリスト藤原直哉氏のセミナーに参加したので、最初にその内容についてマインドマップを使って解説をした。我が国の政治、世界経済、トヨタのリコール問題及び今後の環境適応策などをテーマに、最後まで積極的な議論が展開された。外部の経済環境を変えることはできないが、自ら変革し適応することはできる。環境が激変しているのに、何ら変わろうとしないことが、いかにリスクが大きいか十分に共有できたと思う。変化が激しい時代は、小さくて柔軟であることが大きな武器となる。中小企業にとって、今こそ力を発揮できる好機なのだ。脅威に対応することはもちろん重要であるが、機会(未曾有の大不況に困っている人が非常に多い)に集中(世の中の役に立つ)することで、飛躍できることを再認識すべきである。経済環境を深く考察した上で、経営者はリーダーシップを発揮して、新しい付加価値を創造し、問題解決や課題達成を通じて社会に貢献していくことが重大な使命ではなかろうか。
後段のテーマは、「人事マネジメント」の1回目であった。
組織は、お互いの意見を伝達できる人々がおり、それらの人は貢献しようとする意欲を持って、共通目的の達成を目指すときに成立する。つまり、組織が成立するためには、(1)共通目的 (2)貢献意欲 (3)コミュニケーションが必要条件となる。組織を特定の目的を達成するための人の集団と定義すれば、当然、人を動かすアプローチが不可欠となり、高いモチベーションを持続できる組織が経験的にも高い成果を上げている。
モチベーションとは、動因(欲しい気持ち)と誘因(それを満たすもの)がセットになったときに起こる意欲をいう。組織において、マネジメントに含まれるモチベーションは、持続させる動機づけであり、リーダーシップに含まれるモチベーションは、高揚のための動機づけとなり、両者をバランスよく管理統制することで強い組織を構築できるのである。モチベーション理論では、マズローの欲求5段階説が最も有名であるが、これは人間の欲求を5つの階層(生理的欲求→安全の欲求→社会的欲求→尊厳の欲求→自己実現の欲求)に分類し、下位層の欲求が満たされると、より上位の欲求を満たそうとするという考え方である。人間のレベル感やその置かれた状況等によりモチベーションの源泉は異なってくることを指摘し、画一的なアプローチでは、社員のモチベーションの持続や高揚は難しいことを示唆している。
また、マグレガーのX理論・Y理論において、X理論とは、人間は本来仕事をするのが嫌いであり、強制や命令がないと働かないという考え方であり、Y理論とは、仕事をするのは人間の本性であり、自ら設定した目標に対しては積極的に働くという考え方である。Y理論はコーチングの前提となる考え方であるが、現実の組織では、X理論も加味して考えなければならないことは言うまでもない。
ハーズバーグの2要因理論において、人間の欲求は、動機付け要因(人間として成長して自己実現を満たすという欲求)と衛生要因(意欲を減退させない、不快を回避したいという欲求)の独立した2つの要因があるとしている。ここで注目したいのは、政策や管理、給与、人間関係、作業環境などは衛生要因とされ、満たされても満足につながらないとしている点だ。それに対して、達成、承認、仕事そのもの、責任と権限委譲、昇進などは動機付け要因とされ、満たされると満足を感じ、モチベーションの持続や高揚につながるとされており、人事のマネジメントにおいて最も重視すべきポイントとなる。最後に、人間は設定された目標を受け入れた場合、その目標が困難で、明瞭であればあるほど個人のパフォーマンスやモチベーションは向上すると考えられるので、目標による管理が人事マネジメントの鍵であることは間違いない事実だろう。