~変革の時~
事業承継について考える
本日18時より、W塾勉強会に参加した。
W塾はS社代表者のもとに募った若手経営者の勉強会で、数年前より2月に1回ペースで実施されており、筆者も世話人として参画している。
今回の発表は、A社の執行役員M氏が行った。A社グループでは、事業承継を前提として本年4月に大幅な人事異動が実施された。同社グループは、数社からなる年商百数十億円の優良な中堅企業である。外部環境の変化等に対するリスクヘッジのため、これまで積極的に新規事業開発やM&A戦略により無関連多角化を行ってきた。数年前より、従来の管理運営方法におけるグループ経営では、様々な業務に支障が生じ始めたことを受け、M氏が中心となって大規模な組織再編を断行した。
M氏は、グループの問題点を洗い出した上で、事業承継問題の解決やマネジメント改革及び組織改革を実現するため、持株会社化を軸とした企業組織再編、新社屋移転による物理的統合、本格的なグループ経営への移行及び事業会社の運営方法の見直し・機能の明確化など各種アクションプランを策定実行した。併せてグループにおける経営理念の再確認と全社へ浸透を図り、企業風土の変革にも取り組んだ。
中小・中堅企業においては、所有と経営がほとんど分離しておらず、信用力を含め創業経営者に経営機能の大部分が集中しているため、事業承継を困難にしているケースが圧倒的に多い。弊社においても年間100件以上のコンサルティングや相談業務等を行っているが、これらの大半で内部統制を前提とした組織造りが重要な課題であることは間違いない。筆者もA社グループの組織再編計画策定等に関与しているが、モデルケースとして非常に参考になっている。