給与所得控除の縮減による増税(案)

商工会議所NEWSの平成23年5月号税務Q&Aに「給与所得控除の縮減による増税(案)」が掲載されましたのでご紹介します。

Q 給与に係る給与所得控除が縮減されるそうですが、その内容を教えて下さい。

A 特殊支配同族会社(いわゆる一人オーナー会社)に係る業務主宰役員の役員給与のうち、給与所得控除相当額を損金不算入とする制度が設けられていましたが、平成22年度4月1日以後に終了する事業年度から廃止されたことを受け、平成23年度税制改正において、以下に掲げるような給与所得控除の縮減を行うとしています。これにより、高額の給与所得者については大幅な増税が行われることになります。

Ⅰ 給与所得控除の上限設定
その年中の給与等の収入金額が1千5百万円を超える場合の給与所得控除額については、245万円の上限が設けられます。

Ⅱ 役員給与等に係る給与所得控除
その年中に支払を受ける給与等が役員給与等のみであり、かつ、当該役員給与等の収入金額が2千万円を超える場合における給与所得控除額は、図表1に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額とされ、更に縮減されることになります。

Ⅲ 役員給与等の範囲
次に掲げる役員等が給与等の支払をする者から役員等の職務の対価(使用人としての職務を有する役員の当該職務の対価を除く。)として支払を受ける給与等が縮減の対象となります。
① 法人税法上の役員
② 国会議員及び地方公共団体の議会の議員
③ 国家公務員(特別職の職員の給与に関する法律別表第一及び別表第二の適用を受ける職員、一般職の職員の給与に関する法律別表第十一指定職俸給表の適用を受ける職員その他これらの職員に準ずる一定の者に限る。)
④ 地方公務員(上記③に掲げる者に準ずる一定の者に限る。)

Ⅳ 給与所得者の特定支出の控除の特例の見直し
(1) その年中の特定支出の額の合計額が、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額を超える場合は、給与所得の金額の計算上、その超える部分の金額を給与所得控除額に加算されます。
① その年中の給与等の収入金額が1千5百万円以下である場合
  その年中の給与所得控除額の2分の1に相当する金額
② その年中の給与等の収入金額が1千5百万円を超える場合  125万円
(2) 特定支出の範囲に、次に掲げる支出が追加されます。
① 職務の遂行に直接必要な弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費
② 次に掲げる支出(当該支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限る。)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者により証明がされたもの
イ 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するもの及び制服、事務服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための支出
ロ 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待,供応,贈答その他これらに類する行為のための支出
ハ 職務に関連して加入した学術団体又は職業若しくは職場を同じくする者の組織する団体で一定のもの(以下「学術団体等」という。)の会費で、当該学術団体等の運営に必要な経常的経費に充てるためにその会員その他の構成員が負担する支出

Ⅴ 適用時期
これらの改正は,平成24年分以後の所得税について適用されます。

〔図表1〕給与所得控除
給与所得の金額は、給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて算出しますが、この給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて、次のようになります。ただし、給与等の収入金額が660万円未満の場合には、次の表にかかわらず、所得税法別表第五(年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表)により給与所得の金額を求めます。2356e38396e383ade382b0e59bb31

〔図表2〕給与所得者の特定支出控除の特例
 給与所得者については、給与所得控除とは別に特定支出控除が認められています。これは、給与所得者のその年の特定支出の額の合計額が給与所得控除額を超える場合に、確定申告によりその超える部分の金額を更に差し引くことができる特例です。

この記事は 2011年 5 月 6日(金曜日) に投稿されました。
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