がん保険の改正
商工会議所NEWSの平成24年6月号税務Q&Aに「がん保険の改正」が掲載されましたのでご紹介します。
Q 「がん保険」の取扱いが改正になったそうですが、その内容を教えてください。
A 本年4月27日に、法人が支払う「がん保険」(終身保障タイプ)の保険料の取扱いについて、税務上の取扱いが改正されました。数年前の逓増定期保険の改正に続き、法人による保険を用いた節税対策に規制が入ったことになります。この改正は平成24年4月27日以後の契約に係る「がん保険」の保険料について適用されます。
当該「がん保険」は、保険期間が長期にわたり保険期間の前半において中途解約した場合、相当多額の解約返戻金が生ずるため、支払保険料を単に支払の対象となる期間の経過により損金の額に算入することは適当でないと税務当局は判断した模様です。
1.対象とする「がん保険」の範囲
法人を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする保険期間が終身である一定の契約を対象とします。ただし、その保険料が給与に該当する場合の契約は除かれます。
2 税務上の取扱い
次に掲げる保険料の払込期間の区分等に応じ、それぞれ次のとおり取り扱われます。
(1) 終身払込の場合
① 前払期間
加入時の年齢から105歳までの期間を計算上の保険期間(以下「保険期間」という。)とし、当該保険期間開始の時から当該保険期間の50%に相当する期間(以下「前払期間」という。)を経過するまでの期間にあっては、各年の支払保険料のうち2分の1に相当する金額を前払金等として資産に計上し、残額については損金の額に算入する。
② 前払期間経過後の期間
保険期間のうち前払期間を経過した後の期間にあっては、各年の支払保険料を損金の額に算入するとともに、次の算式により計算した金額を、①による資産計上額の累計額(既にこの②の処理により取り崩した金額を除く。)から取り崩して損金の額に算入する。
[算 式] 資産計上額の累計額 × 1÷ (105-前払期間経過年齢) = 損金算入額(年額)
(2) 有期払込(一時払を含む。)の場合
① 前払期間
保険期間のうち前払期間を経過するまでの期間にあっては、次に掲げる期間の区分に応じ、それぞれ次に定める処理を行う。
イ 保険料払込期間が終了するまでの期間
次の算式により計算した金額(以下「当期分保険料」という。)を算出し、各年の支払保険料のうち、当期分保険料の2分の1に相当する金額と当期分保険料を超える金額を前払金等として資産に計上し、残額については損金の額に算入する。
[算 式] 支払保険料(年額) × 保険料払込期間 ÷ 保険期間 = 当期分保険料(年額)
(注) 保険料払込方法が一時払の場合には、その一時払による支払保険料を上記算式の「支払保険料(年額)」とし、「保険料払込期間」を1として計算する。
ロ 保険料払込期間が終了した後の期間
当期分保険料の2分の1に相当する金額を、イによる資産計上額の累計額(既にこのロの処理により取り崩した金額を除く。)から取り崩して損金の額に算入する。
② 前払期間経過後の期間
保険期間のうち前払期間を経過した後の期間にあっては、次に掲げる期間の区分に応じ、それぞれ次に定める処理を行う。
イ 保険料払込期間が終了するまでの期間
各年の支払保険料の額のうち、当期分保険料を超える金額を前払金等として資産に計上し、残額については損金の額に算入する。
また、次の算式により計算した金額(以下「取崩損金算入額」という。)を、①のイによる資産計上額の累計額(既にこのイの処理により取り崩した金額を除く。)から取り崩して損金の額に算入する。
[算 式] 当期分保険料 ÷ 2× 前払期間 ÷ (105-前払期間経過年齢)= 取崩損金算入額
ロ 保険料払込期間が終了した後の期間
当期分保険料の金額と取崩損金算入額を、①及びこの②のイによる資産計上額の累計額(既に①のロ及びこの②の処理により取り崩した金額を除く。)から取り崩して損金の額に算入する。
(3) 例外的取扱い
保険契約の解約等において払戻金のないもの(保険料払込期間が有期払込であり、保険料払込期間が終了した後の解約等においてごく小額の払戻金がある契約を含む。)である場合には、上記(1)及び(2)にかかわらず、保険料の払込の都度当該保険料を損金の額に算入する。