~変革の時~
非上場株式等の株価評価について考える
本日17時より、某金融機関と共同で事例研究会を実施した。
今回のテーマは、前回に引き続き「非上場株式等の株価評価」であった。
同金融機関は、会社の事業承継・経営合理化などの問題・課題解決について積極的に提案を行っており、当研究会では情報交換を兼ねて、様々な事案や提案について活発な議論を重ねている。
また、当研究会の前後では、実際の事業承継、M&Aやバイアウトなどの案件について質疑・検討を行っているが、本日のみで8件の相談があり、業界をリードする同金融機関の積極姿勢が窺える。
国税庁方式によると非上場株式等の株価は、その取得の態様に応じて評価方法が異なってくることになる。特に、原則的評価方式と特例的評価方式(配当還元価額方式)で百倍以上も評価額が乖離することも珍しくない。
原則的評価方式には、純資産価額方式、類似業種比準価額方式、純資産価額と類似業種比準価額の併用方式があるが、採用される評価方式は、取得後の議決権比率や会社規模(大会社・中会社・小会社)により異なるので、企業防衛の観点から、自社がどの区分に該当し、どの評価方式が採用されるのか、それが評価上有利なのかどうかを判断し、適切な対策を講じる必要があるものと考える。
なお、個人対個人の取引の場合において、取得後の議決権比率が相対的に低いときは、配当還元価額方式がとれるが、取引の当事者に法人が入るケース(個人対法人、法人対個人、法人対法人)では、原則として当該方式は採用できない。
このようなケースでは、法人側に受贈益課税、寄付金課税及び役員賞与課税等が、個人側に給与課税、一時所得課税及び配当課税等のリスクが生ずることになり、法人税法上の時価(法人税基本通達9‐1‐13)を加味しなければならないこととなる。
そのため、実際の株価算定では、税務リスク回避の観点から、法人税基本通達9‐1‐14における小会社方式を採用することが多い。
※法人税基本通達9‐1‐14
(注)法人が、上場有価証券等以外の株式(9‐1‐13の(1)及び(2)に該当するものを除く。)について「財産評価基本通達」の《取引相場のない株式の評価》の例によって算定した価額によっているときは、課税上弊害がない限り、次によることを条件として認められる。
(1)当該株式の価額につき、当該法人が当該株式の発行会社にとって「中心的な同族株主」に該当するときは、当該発行会社は常に「小会社」に該当するものとしてその例によること。
(2)当該株式の発行会社が土地(土地の上に存する権利を含む。)又は上場有価証券を有しているときは、「1株当たりの純資産価額」の計算に当たり、これらの資産については当該事業年度終了の時における価額によること。
(3)「1株当たりの純資産価額」の計算に当たり、評価差額に対する法人税額等に相当する金額は控除しないこと。