~変革の時~ 
銀行員との勉強会開催

本日18時より、弊社において某金融機関の行員に対する勉強会を実施した。同金融機関は、他県に本店を置く財務健全性の高い地方銀行であるが、成長志向の若手行員が多く、最後まで活発な議論が展開された。

今回のテーマは、「実践的な財務諸表の見方・考え方」であった。

我々のような会計専門家のみならず、銀行員や管理者などのビジネスパーソンにとっても、財務諸表の見方・考え方を正しくマスターしていることは大きなアドバンテージとなる。会社経営においては、持続的な競争優位を追及するため、ヒト・カネ・モノ・情報といった経営資源を適切に配分していかなければならない。大企業と比較して経営資源の乏しい中小・中堅企業が、現在のような非常に厳しい経営環境で生き残っていくためには、機会に対して自社の強みを明確にし、その経営資源を集中していくことが不可欠となる。そのためには、適切な配分という視点でモニタリングすることが重要となるが、財務諸表に反映される経営資源もあれば、人的資源や情報資源のようにあまり反映されてこないものがあるので、それらは管理会計等によりしっかり把握していくことが肝要であろう。

貸借対照表は、損益計算と収支計算の未解消項目を収容する連結環機能を有している。翌期の損益計算は当期末の貸借対照表を出発点として行われることとなる。毎期の損益計算が適切に表示されていなければ、その差額が貸借対照表に膿(デッドストック等の不良資産、架空資産や引当不足など)として溜まっていく。貸借対照表の科目残高を精査し適正に表示し直すことで、財務諸表の信頼性が保証されることになる。

相手先に対する残高確認や実地棚卸といった定期的なモニタリングは、会計処理の間違いや不祥事の抑制等に重要な役割を果たすが、中堅以下の企業では十分に実施されていないケースが多く、ダブルチェックを前提とした会計業務フローの再構築が経営的に大きな課題と言えよう。

また、貸借対照表においては、資産と負債のバランス、負債と資本のバランス、資産の配分バランスや資産・負債の長短のバランスなど、それぞれの会社の実情にあった最適なバランスを追求しなければならない。いったん、大きくバランスを崩してしまうとその是正に長期間要することが多く、深く分析していくことで経営者の姿勢、経営能力等が浮き彫りになりやすい。そのため、貸借対照表を意識して中長期の計画を策定し、粛々と実行していくことで金融機関を含め、各種利害関係者の高い信用を獲得することが可能となる。

損益計算書は、一会計期間の経営成績をより明らかにするため、区分式が採用されており、売上総利益、営業利益、経常利益、当期純利益と段階別に表示される。会社経営として捉えた場合、事業から生み出される付加価値の評価が最も重要であり、経営判断や意思決定等の重要な基準となるため、原価計算を徹底し、売上総利益(粗利)を適正に表示、更にセグメント別に分解・細分化することで付加価値の発生源泉を明確にし、持続的な競争優位を追及していくことが求められる。

販売力のみによる高付加価値は、長期的に持続するのは困難であり、常に顧客志向で提供する製品やサービスを改善し、品質向上や革新(イノベーション)に努めなければならない。売上総利益率は高ければよいというものでもなく、競争企業を前提として、常に割安感を維持しつつ、競合他社が模倣困難であることを意識していく必要があるだろう。

この記事は 2009年 12 月 9日(水曜日) に投稿されました。
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