~変革の時~
YCAビジネススクールⅢ 第15回

本日10時より、YCAビジネススクールⅢが開催された。

前段の発表については、経営コンサルタントの藤屋氏が「差別化戦略の策定プロセス」をテーマに行った。BS3風景_20100320

  今回の発表で藤屋氏は、経営コンサルタントとしてのこれまでの経緯、現在の状況およびこれからの経営戦略について、ドラッカーの経営理論を交え具体的に説明を行った。差別化戦略の策定を、(1)事業の再定義を行う (2)戦略の型を決める (3)チャンスに焦点を合わせる (4)セールスポイントを打ち出す (5)組織構造を変える (6)計画・実行・評価の仕組みをつくる (7)実視すべき教育・訓練の内容を明らかにしてスケジュール化するの7つのプロセスに分けて、それぞれのパートについて、自身の経験談と戦略を交え、熱く語った。

多くの中小企業においては、差別化戦略についてほとんど意識されていない。過去における右肩上がりの経済においては、長いPLC(製品ライフサイクル)と高い利益率のお陰でどうにか市場に存在することができた。しかし、現在のようにITが急速に普及したことにより、情報の伝達スピードが飛躍的に上がり、PLC(製品ライフサイクル)の短命化と利益率低下のスピードが早まると、戦略なき企業は存在することすら非常に困難になっているに気付かなければならない。

弊社も開業して7年近くになり、事業が安定してきたためか、戦略が硬直化して業務がルーティン化してきているように感じることがある。外部の環境変化が激しく競争が激化している中、何もしなければ自社の競争優位が持続されるはずもない。常にイノベーションを起こすべく新しい付加価値を創造するため、謙虚に努力し続けなければ未来はないと肝に銘じている。

後段のテーマは、「人事マネジメント」の2回目であった。

組織が成立するためには、(1)共通目的 (2)貢献意欲 (3)コミュニケーションが必要条件となる。組織を特定の目的を達成するための人の集団と定義すれば、当然、人を動かすアプローチが不可欠となり、人事マネジメントが重要となるのは言うまでもない。現在の経営環境においては、価値観や雇用の多角化により、画一的な人事システムではうまく組織を統制することは難しくなってきているため、社員区分の設定が重要となる。社員区分の設計に当たっては、(1)基準の明確化 (2)区分間公平性 (3)法的要件の充足を意識しなければならない。

従来、日本においては、職務遂行能力に基づいて社員格付けを決める職能資格制度が主流であったが、時代の変遷とともに、その主役が役割や仕事に基づいて社員格付けを決める職務分類制度へと移行してきた。更に、総額賃金管理の要請から仕事の成果を報酬と結びつける成果主義をとる企業が多くなってきたが、うまく運用できなかった企業が大半であった。仕事の成果を的確に評価するためには、(1)顧客の視点 (2)社内ビジネス・プロセスの視点 (3)個人の学習と成長の視点 (4)財務の視点など複数の観点から評価しなければならず、評価者のレベルと被評価者とのコミュニケーションが重要であるという認識が希薄であったことが大きな要因ではなかろうか。創造的で強い組織を構築するためには、目標管理制度(MBO)や面談制度などの適切な運用による人事マネジメントが必要であり、成長を志向する企業にとって、間違いなく最重要課題となろう。

この記事は 2010年 3 月 20日(土曜日) に投稿されました。
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