~変革の時~
YCAビジネススクールⅢ 第18回

本日10時より、YCAビジネススクールⅢが開催された。

前段は、ソフトウェア業を営む中堅企業A社の代表取締役S氏が、同社における組織戦略について発表を行った。現在の厳しい経済環境の中、A社は積極的な事業展開により、安定した収益と高い利益率を維持している。ドメインをソフトウェア開発の特定分野に特化したニッチ戦略により、全国的に見ても高いシェアを獲得している。今回の発表では、中堅企業ならではの競争優位構築と差別化戦略のポイントについて、具体的な説明が行われた。

中小・中堅企業では限られた経営資源を、強みと機会に集中しなければ大企業に勝ち目がない。同社は、大企業と真っ向勝負を挑まず、明確に差別化・独自化を行って、顧客の高い支持を得ることで、市場シェアの拡大を実現してきた。また、誠実な経営姿勢により、取引先、金融機関等外部の利害関係者の評価も高いことから、今後も継続的に成長していくに違いない。

後段については、先日行われた経済アナリスト藤原直哉氏のセミナー内容を基に、今後の経済見通しと中小・中堅企業がとるべき経営戦略について活発な討議を行った。

ギリシャ危機を皮切りにPIIGS(ポルトガル・イタリア・アイルランド・ギリシャ・スペイン)の財政危機が囁かれ、ユーロ圏全体の信用が揺らいでいる。緊急避難的に円が買われ、急激な円高と株安が同時に進行した。著しい経済成長を続け、頼みの綱である中国も不動産バブルの様相を呈し、農村部との大きな経済格差の問題も顕在化してきた。仮に現在の安過ぎる元の大幅な引き上げが行われた場合には、一転して経済危機に陥る可能性が高い。今、世界的に国家破綻や通貨危機が相次いで起きようとしている。日本経済の抜本的な構造転換が急務であることは間違いない。

現在の民主党政権下、小沢幹事長や鳩山前総理の政治と金問題による政治不信、普天間基地の移転、菅総理の消費税発言など各種問題が相次いだ結果、先日行われた参議院選において、予想通り民主党が大敗し、衆参のねじれ現象が生じてしまった。不安定な経済環境では政治の強いリーダーシップが求められるが、当面は政治的な駆け引きにより、適切な再生プロセス(金融資産による負債圧縮、公務員給与・特別会計等の固定費削減、健康維持教育を前提とした少子高齢化に対応する医療費削減など)がスムーズに進むとは到底思えない。景気が本格的に回復するまでには、これから数年間かかることを覚悟しなければならないだろう。

このような厳しい経済環境下で、企業が存続し続けるためには、環境悪化に適応できる柔軟さ、筋肉質の財務体質及び継続的なイノベーションによる付加価値の持続的な競争力等が求められる。経営者は、成り行きで受動的な経営姿勢で存続できるほど、楽観視できる経済環境でないことを肝に銘じるべきではなかろうか。

この記事は 2010年 7 月 17日(土曜日) に投稿されました。
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