~変革の時~
経済環境について考える
本日、経済アナリスト藤原直哉氏のセミナーに参加した。講演テーマは、「世界と日本で今起こっていること」であった。
我が国の政治は、菅総理の辞任問題などの混乱で機能不全に陥っている。原発事故の発生により、これまで隠蔽されてきたエネルギー政策の偽証や政官民の癒着などの腐敗が明らかとなってきた。民主党や自民党による政治では、世界的なパラダイムシフトが起きている現在の経済環境を乗り切れないだろう。おそらく、東電の処理は最終的に会社更生法等の法的整理が必要となるだろうが、原発の国有化、発電と送電の分離など、その他の電力会社の再編も不可避となってくるのではないだろうか。
一方で、米国議会では債務上限引上げ問題で大きく揉め、ぎりぎりのところで最悪の危機を回避したが、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、米長期国債の格付けを最上位の「AAA(トリプルA)」から1段階引き下げて「AA+(ダブルAプラス)」に格下げしたと発表した。これを受け、世界同時株安、原油価格の暴落と金価格高騰が起こり、円高は一ドル=76円台まで進行した。オバマ大統領は、米長期国債は引続き、AAAであると主張したが市場は全く反応しなかった。
ユーロ圏の小国(アイルランド、ポルトガル、ギリシャなど)で始まった国家債務危機は、いよいよスペイン、イタリア、フランスに波及し、今回の金融株大暴落を受けて、フランス、イタリア、スペイン、ベルギーの欧州連合(EU)加盟4カ国は、金融株の空売り一時禁止を打ち出した。そのような中、イギリスのロンドンを中心に、著しい物価上昇と失業率悪化を背景に若者による暴動が起き、世界を驚嘆させている。自由化で貧富の格差が広がり、財政再建のための急激な緊縮財政による弱者の締め付けがきつ過ぎたのが原因であろう。
為替市場では日本円とスイスフランが買われている。日本円が相対的に一番安全とみなされ、国際取引では円決済の取引が増加しており、東アジアでは、円が機軸通貨になる可能性も否定できない状況だ。通貨高では決して国は潰れることはない。輸出企業は大打撃を受けるが、輸入品は安くなる。引き続きデフレ傾向は継続するものと思われるが、海外での激しいインフレの状況を鑑みれば悪いことばかりではない。今後は、円高メリットを活かす戦略が重要となるだろう。また、隣国の中国経済は不安定さを増しており、同国の破綻の可能性が高まっている。もしそうなれば、経済的な悪影響と中国から日本への人口流出は必死であり、それぞれのリーダーは中国崩壊後の戦略も想定しておく必要があるだろう。ただし、国のリーダーシップは全く信用できないので、地方が独自でやるしかない。特に地元企業は、東アジア経済を視野に入れた戦略が重要となるだろう。