平成24年度税制改正大綱

民主党による平成24年度税制改正大綱が、本日公表された。税制改正大綱は弊社の業務に重大な影響を及ぼすことから、毎年強い関心を持って待ち構えている。

国会で衆参ねじれ現象が生じており、かつ、財源問題や各種利害対立が大きい。昨年度の税制改正法案については、一部未成立のまま繰り越され、また見送られたものが複数あった。そのため、来年3月末の法律制定までその内容が大きく変更になる可能性もあるので特に注視していきたい。民主党政権は、昨年の経験からか現状では成立が難しい抜本的改正項目はあまり盛り込まなかったようだ。2010年代半ばまでに段階的に消費税率の引き上げ、当面の社会保障改革にかかる安定財源を確保すると謳っているものの現政権での成立は困難を極めることになるだろう。

今回の改正項目のうち、筆者が俯瞰して特に気になったものは以下の通りである。

(1) 給与所得控除の上限設定
その年中の給与等の収入金額が1,500 万円を超える場合の給与所得控除額については、245 万円の上限を設けます。

(2) 特定支出控除の見直し
特定支出控除について次の見直しを行います。
① 特定支出の範囲の拡大
特定支出の範囲に次に掲げる支出を追加します。
(イ) 職務の遂行に直接必要な弁護士、公認会計士、税理士、弁理士などの資格取得費
(ロ) 職務と関連のある図書の購入費、職場で着用する衣服の衣服費及び職務に通常必要な交際費(勤務必要経費)
(注)その年中に支出した勤務必要経費の金額の合計額が65 万円を超える場合には、65 万円を限度とします。
② 特定支出控除の適用判定・計算方法の見直し
その年の特定支出の額の合計額が、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額を超える場合(現行:給与所得控除額を超える場合)は、その超える部分の金額を給与所得控除額に加算することができることとします。
(イ) その年中の給与等の収入金額が1,500 万円以下の場合 
その年中の給与所得控除額の2分の1に相当する金額
(ロ) その年中の給与等の収入金額が1,500 万円を超える場合 125 万円
(注)上記の改正は、平成25 年分以後の所得税及び平成26 年度分以後の個人住民税について適用します。

(3) 退職所得課税の見直し
① 役員退職手当等に係る退職所得の課税方法の見直し
その年中の退職手当等のうち、退職手当等の支払者の役員等(役員等としての勤続年数が5年以下の者に限ります。)が当該退職手当等の支払者から役員等の勤続年数に対応するものとして支払を受けるもの(以下「役員退職手当等」といいます。)に係る退職所得の課税方法について、退職所得控除額を控除した残額の2分の1とする措置を廃止します。
(注)「役員等」とは、次に掲げる者をいいます。
1 法人税法第2条第15 号に規定する役員
2 国会議員及び地方議会議員
3 国家公務員及び地方公務員
(注)上記の改正は、平成25 年分以後の所得税について適用します。個人住民税は、平成25 年1 月1 日以後に支払われるべき退職手当等について適用します。

(4) 特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例について、譲渡資産の譲渡対価に係る要件を1.5 億円(現行:2億円)に引き下げた上、その適用期限を2年延長します。
(注)上記の改正は、平成24 年1月1日以後に行う居住用財産の譲渡について適用します。

(5) 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長します。

(6) 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長します。

(7) 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について、低炭素まちづくり促進法(仮称)の制定に伴い、同法に規定する認定省エネルギー建築物(仮称)のうち一定の住宅(以下「認定住宅」といいます。)の新築又は建築後使用されたことのない認定住宅の取得をして平成24 年又は平成25 年に居住の用に供した場合における住宅借入金等の年末残高の限度額及び控除率は、平成24年居住の場合には、控除期間10年間、住宅借入金等の年末残高の限度額4,000万円、控除率1.0%、平成25年居住の場合には、控除期間10年間、住宅借入金等の年末残高の限度額3,000万円、控除率1.0%とします。(認定長期優良住宅に係る措置と同様の措置)。

(8) 源泉徴収義務者が給与所得者等から提出を受けた源泉徴収関係書類の保管・提出について、次のとおり現行の取扱いを法令に規定します。なお、保管期間はそれぞれ次のとおりとします。
① 給与所得者の扶養控除等申告書等(別紙1参照)の提出を受けた給与等の支払者等は、当該申告書等をその提出期限の属する年の翌年1月10 日の翌日から7年間保管することとします。また、税務署長が当該申告書等の提出を求めたときは、当該給与等の支払者等は当該申告書等を税務署長に提出することとします。
(注)上記の改正は、平成25 年1月1日以後に提出すべき申告書等について適用します。

(9) 源泉徴収に係る所得税の納期に関する特例について、次の措置を講じます。
① 源泉徴収に係る所得税の納期の特例について、7月から12 月までの間に支払った給与等及び退職手当等につき徴収した所得税の納期限を翌年1月20 日(現行:翌年1月10 日)とします。
② 給与・退職手当等について源泉徴収した所得税の納期限の特例を廃止します。
(注)上記の改正は、平成24 年7月1日以後に支払うべき給与等及び退職手当等について適用します。

(10) 土地に係る固定資産税の負担調整措置
平成24年度から平成26 年度までの土地に係る固定資産税の負担調整措置について、次のとおりとします。
① 商業地等
(イ 負担水準が70%を超える商業地等については、当該年度の評価額の70%を課税標準額とする措置を継続します。
(ロ 負担水準が60%以上70%以下の商業地等については、前年度の課税標準額を据え置く措置を継続します。
(ハ 負担水準が60%未満の商業地等については、前年度の課税標準額に当該年度の評価額の5%を加えた額を課税標準額とする措置を継続します。ただし、当該額が、評価額の60%を上回る場合には60%相当額とし、評価額の20%を下回る場合には20%相当額とする措置も継続します。
(ニ 課税標準額の上限である評価額の70%の場合に算定される税額から、地方自治体の条例の定めるところにより、当該年度の評価額の60%から70%の範囲で条例で定める割合により算定される税額まで、一律に減額することができる措置を継続します。
② 住宅用地
(イ 前年度の課税標準額が当該年度の評価額に住宅用地特例割合(6分の1又は3分の1)を乗じて得た額(以下「本則課税標準額」といいます。)以下の住宅用地については、前年度の課税標準額に、本則課税標準額の5%を加えた額を課税標準額とします。
ただし、当該額が、本則課税標準額を上回る場合には本則課税標準額とし、本則課税標準額の 20%を下回る場合には20%相当額とします。
(ロ ただし、経過的な措置として、平成24 年度及び平成25 年度については、次の措置を講じます。
(a) 負担水準が90%以上の住宅用地については、前年度の課税標準額を据え置きます。
(b) 負担水準が90%未満の住宅用地については、前年度の課税標準額に、本則課税標準額の5%を加えた額を課税標準額とします。ただし、当該額が、本則課税標準額の90%を上回る場合には90%相当額とし、本則課税標準額の20%を下回る場合には20%相当額とします。
③ 据置年度において地価が下落している場合に簡易な方法により価格の下落修正ができる特例措置を、平成25 年度及び平成26 年度も継続します。
④ 商業地等及び住宅用地に係る固定資産税について、地方自治体の条例の定めるところにより、税額が前年度税額(前年度に条例減額制度が適用されている場合には、減額後の税額)に1.1 以上で条例で定める割合を乗じて得た額を超える場合には、当該超える額に相当する額を減額することができる措置を継続します。
⑤ 農地
(イ 一般農地及び一般市街化区域農地については、現行と同様の負担調整措置を継続します。
(ロ 特定市街化区域農地については、一般住宅用地と同様の取扱いとする措置を継続します。

(11) 東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、非課税限度額(現行1,000万円)を次のとおりとした上、適用期限を平成26 年12 月31 日までとします。
① 省エネルギー性・耐震性を備えた良質な住宅用家屋の場合  1,500 万円
② 上記イ以外の住宅用家屋の場合  1,000 万円
(注)上記の改正は、平成24 年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用します。

(12) 平成23 年3月11 日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故に係る避難等の指示が解除されていない区域のうち、各年度において市町村長が指定する区域内に所在する土地及び家屋に係る固定資産税及び都市計画税を免除する措置について、平成25 年度以後当分の間の措置とします(現行平成23 年度及び平成24 年度のみ)。
(13) 平成23 年3月11 日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故に係る前年度の課税免除の対象区域であって新たに課税免除の対象外となる区域のうち市町村長が指定する区域内の土地及び家屋に係る固定資産税及び都市計画税の減額措置について、次の措置を講じます。
① 減額対象期間を課税免除の対象外となってから原則3年度分(現行単年度分)とします。
② 平成25 年度以後当分の間、各年度において新たに課税免除の対象外となる区域に係る措置とします(現行平成24 年度のみ)。

(14) 会社分割に伴う不動産の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、軽減税率を次のとおり見直した上、その適用期限を3年延長します。
① 所有権の移転登記(現行1,000 分の13)
平成24 年4月1日から平成26 年3月31 日まで 1,000 分の15
平成26 年4月1日から平成27 年3月31 日まで 1,000 分の18
② 地上権の移転登記(現行1,000 分の6.5)
平成24 年4月1日から平成26 年3月31 日まで 1,000 分の7.5
平成26 年4月1日から平成27 年3月31 日まで 1,000 分の9
③ 所有権の移転の仮登記等(現行1,000 分の6.5)
平成24 年4月1日から平成26 年3月31 日まで 1,000 分の7.5
平成26 年4月1日から平成27 年3月31 日まで 1,000 分の9
④ 地上権の移転の仮登記等(現行1,000 分の3.25)
平成24 年4月1日から平成26 年3月31 日まで 1,000 分の3.75
平成26 年4月1日から平成27 年3月31 日まで 1,000 分の4.5
なお、会社分割に伴う不動産の抵当権等の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置については、適用期限の到来をもって廃止します。

(15) 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講じます。
① 非課税限度額(現行1,000 万円)を次のとおりとします。
(イ) 省エネルギー性・耐震性を備えた良質な住宅用家屋の場合
(a) 平成24 年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,500 万円
(b) 平成25 年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,200 万円
(c) 平成26 年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,000 万円
なお、東日本大震災により住宅用家屋が滅失等をした者(当該住宅用家屋が原発警戒区域内に所在する者を含みます。以下ロまでにおいて「東日本大震災の被災者」といいます。)については、非課税限度額を1,500 万円とします(再掲)。
(ロ) 上記(イ)以外の住宅用家屋の場合
(a) 平成24 年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,000 万円
(b) 平成25 年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 700 万円
(c) 平成26 年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 500 万円
なお、東日本大震災の被災者については、非課税限度額を1,000万円とします(再掲)。
② 適用対象となる住宅用家屋の床面積については、東日本大震災の被災者を除き、240 ㎡以下とします。
③ 適用期限を平成26 年12 月31 日までとします。
(注)上記の改正は、平成24 年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用します。

(16) 宅地評価土地の取得に係る不動産取得税の課税標準を価格の2分の1とする特例措置の適用期限を3年延長します。

(17) 住宅及び土地の取得に係る不動産取得税の標準税率(本則4%)を3%とする特例措置の適用期限を3年延長します。

(18) 新築住宅を宅地建物取引業者等が取得したものとみなす日を住宅新築の日から1年(本則6月)を経過した日に緩和する不動産取得税の特例措置の適用期限を2年延長します。

(19) 新築住宅特例適用住宅用土地に係る不動産取得税の減額措置(床面積の2倍(200 平方メートルを限度)相当額の減額)について、土地取得後の住宅新築までの経過年数要件を緩和する不動産取得税の特例措置の適用期限を2年延長します。

(20) 相続税の連帯納付義務について、次の場合には連帯納付義務を解除します。
① 申告期限等から5年を経過した場合(ただし、申告期限等から5年を経過した時点で連帯納付義務の履行を求めているものについては、その後も継続して履行を求めることができることとします。)
② 納税義務者が延納又は納税猶予の適用を受けた場合
(注)上記の改正は、平成24 年4月1日以後に申告期限等が到来する相続税について適用します。ただし、同日において滞納となっている相続税についても、上記の改正と同様の扱いとします。

(21) 試験研究費の増加額に係る税額控除又は平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除を選択適用できる制度の適用期限を2年延長します(所得税についても同様とします。)。

(22) 環境関連投資促進税制について、対象資産のうち太陽光発電設備及び風力発電設備を電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の認定設備で一定の規模以上のものに限定した上、平成24 年4月1日から平成25 年3月31 日までの間に当該設備の取得等をし、その事業の用に供した場合には、普通償却限度額との合計で取得価額まで特別償却ができることとします(所得税についても同様とします。)。

(23) 中小企業投資促進税制について、対象資産に製品の品質管理の向上に資する試験機器等を追加するとともに、デジタル複合機の範囲の見直しを行った上、その適用期限を2年延長します(所得税についても同様とします。)。

(24) 交際費等の損金不算入制度について、その適用期限を2年延長するとともに、中小法人に係る損金算入の特例の適用期限を2年延長します。

(25) 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の適用期限を2年延長します(所得税についても同様とします。)。

(26) 原子力災害からの復興支援
東日本大震災による原子力災害からの復興を推進するため、福島復興再生特別措置法(仮称)の制定を前提に、次の措置を講じます(所得税についても同様とします。)。
① 福島県全域に係る措置
福島復興再生特別措置法(仮称)の規定により福島県の全ての地方公共団体が東日本大震災復興特別区域法の課税の特例を含む復興推進計画を作成することができる特定地方公共団体の対象となることに伴い、特定地方公共団体が作成した認定復興推進計画に基づき適用することができる次の東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律における措置について、福島県の地方公共団体が作成した認定復興推進計画も同様に、これに基づき適用することができることとします。この場合における次の(イ)の措置については、平成28 年3月31 日まで即時償却ができることとします。
(イ) 復興産業集積区域において機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度
(ロ) 復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の税額控除制度
(ハ) 復興産業集積区域において開発研究用資産を取得した場合の特別償却制度等
(ニ) 再投資等準備金制度
(ホ) 再投資設備等を取得した場合の特別償却制度
② 避難解除区域に係る措置
(イ) 避難解除区域において機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度の創設
福島復興再生特別措置法(仮称)の規定により被災事業者である旨の福島県の確認を受けた事業者が、避難対象区域の設定の解除の日から同日以後5年を経過する日までの間に、機械装置、建物等及び構築物の取得等をして、これをその避難対象区域の設定を解除された区域内において事業の用に供した場合には、その減価償却資産の取得価額から普通償却限度額を控除した金額(建物等及び構築物については、それぞれその取得価額の25%)の特別償却とその取得価額の15%(建物等及び構築物については、8%)の税額控除との選択適用ができることとします。ただし、この制度における控除税額の上限は当期の法人税額の20%とし、控除限度超過額は4年間の繰越しができることとします。
(注1)被災事業者とは、平成23 年3月11 日において避難対象区域内に事業所を有していた事業者をいいます。
(注2)避難対象区域とは、緊急時避難準備区域、警戒区域及び計画的避難区域として設定された区域をいいます。
(注3)福島復興再生特別措置法(仮称)の施行の日前に避難対象区域の設定を解除された地域については、福島復興再生特別措置法(仮称)の施行の日から同日以後5年を経過する日までの間の措置とします。
(注4)建物等には、社宅等の用に供するものを含みます。
(ロ) 避難解除区域において被災雇用者等を雇用した場合の税額控除制度の創設事業者が、避難対象区域の設定の解除の日から同日以後3年を経過する日までの間に福島復興再生特別措置法(仮称)の規定により被災事業者である旨の福島県の確認を受けた場合において、その確認を受けた日と避難対象区域の設定の解除の日とのいずれか遅い日から同日以後5年を経過する日までの期間(以下「適用期間」といいます。)内の日を含む各事業年度の適用期間内において、その避難対象区域の設定を解除された区域内に所在する事業所に勤務する被災雇用者等に対して給与等を支給する場合には、その支給する給与等の額のうちその各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されるものの20%の税額控除ができることとします。ただし、この制度における控除税額の上限は、当期の法人税額の20%とします。
なお、上記(イ)の制度、雇用者の数が増加した場合の税額控除制度又は復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の税額控除制度の適用を受ける事業年度においては、この制度は適用できません。
(注)被災雇用者等とは、次の者をいいます。
① 平成23 年3月11 日時点において避難対象区域内の事業所に勤務していた者
② 平成23 年3月11 日時点において避難対象区域内に居住していた者
② 二重ローン対策

(27) 特定の資産の買換えの場合等の課税の特例における長期所有の土地、建物等から国内にある土地、建物、機械装置等への買換えについて、次の買換資産の見直しを行った上、その適用期限を3年延長します(所得税についても同様とします。)。
① 土地等の範囲を事務所等の一定の建築物等の敷地の用に供されているもののうちその面積が300 ㎡以上のものに限定します。
② 貨物鉄道事業用の機関車の範囲から入換機関車を除外します。

(28) 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例の適用期限を2年延長します。

(29) 中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻しによる還付の不適用措置の適用期限を2年延長します。

(30) 自動車重量税について、次の見直しを行います。
次に掲げる検査自動車(車検証の交付等の時点で燃費等の環境性能に関する一定の基準(燃費基準等の切り替えに応じて変更します。現時点では平成27 年度燃費基準等)を満たしている検査自動車に限ります。)については本則税率を適用します。
(イ) 電気自動車
(ロ) 天然ガス自動車のうち、平成21 年排出ガス規制に適合し、かつ、平成21 年排出ガス基準値より10%以上窒素酸化物の排出量が少ないもの
(ハ) プラグインハイブリッド自動車
(ニ) (イ)から(ハ)までに掲げる検査自動車以外の検査自動車で次に掲げるもの

(31) 地球温暖化対策のための税
① 石油石炭税に、「地球温暖化対策のための課税の特例」を設け、CO2 排出量に応じた税率を上乗せします。
② 「地球温暖化対策のための課税の特例」により上乗せする税率は、原油及び石油製品については1キロリットル当たり760 円、ガス状炭59化水素は1トン当たり780 円、石炭は1トン当たり670 円とします。

(32) 消費税が非課税とされる介護サービスの範囲に、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、複合型サービス及び地域支援事業として要支援者等に対して行われる資産の譲渡等を加えることとします。

(33) 国外財産調書の提出
① その年の12 月31 日において価額の合計額が5千万円を超える国外に所在する財産(以下「国外財産」といいます。)を有する居住者は、当該財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した調書(以下「国外財産調書」といいます。)を、翌年3月15 日までに、税務署長に提出しなければならないこととします。
(注)財産の評価については、原則として「時価」とします。ただし、「見積価額」とすることもできることとします。
② 国外財産調書に記載した国外財産については、所得税法の規定にかかわらず、財産債務明細書への内容の記載は要しないこととします。
(注)この場合、運用上、財産債務明細書の備考に「国外財産調書に記載のとおり」と記載することとします。

(34) 所得金額に比して過大な利子を関連者間で支払うことを通じた租税回避を防止するため、次の措置を講じます。
① 概要
法人の関連者に対する純支払利子等の額が調整所得金額の50%を超える場合には、その超える部分の金額は、当期の損金の額に算入しないものとします。
② 関連者の範囲
関連者の範囲は、その法人との間に直接・間接の持分割合50%以上の関係にある者及び実質支配・被支配関係にある者並びにこれらの者による債務保証を受けた第三者等とします。
③ 関連者に対する純支払利子等の額
関連者に対する純支払利子等(以下「関連者純支払利子等」といいます。)の額は、関連者に対する支払利子等(以下「関連者支払利子等」といいます。)の額の合計額からこれに対応するものとして計算した受取利子等の額を控除した残額とします。
イ 関連者支払利子等
(イ) 支払利子等の範囲は、利子、利子に準ずるもの(リース取引に係る利息相当額を含みます。)及び関連者保証による借入れに伴う保証料等とします。
(ロ) 関連者支払利子等には、借入れと貸付けの対応関係が明らかな債券現先取引等に係る支払利子等は、含まれないものとします。
(ハ) 関連者支払利子等には、その関連者に対する支払利子等でその支払を受ける関連者において我が国の法人税の課税所得に算入されるもの等は、含まれないものとします。
ロ 関連者支払利子等の額の合計額に対応する受取利子等
(イ) 受取利子等の範囲は、利子及び利子に準ずるもの(リース取引に係る利息相当額を含みます。)とします。
(ロ) 関連者純支払利子等の額の計算において関連者支払利子等の額の合計額に対応するものとして控除される受取利子等の額は、総受取利子等の額から上記イ(ロの債券現先取引等に係る支払利子等に相当する金額を控除した残額のうち関連者支払利子等の額の合計額が総支払利子等の額(上記イ(ロの債券現先取引等に係る支払利子等に相当する金額を除きます。)に占める割合に応じた金額とします。
(ハ その法人が関連者である居住者、内国法人又は国内に恒久的施設を有する非居住者若しくは外国法人から受ける利子等(以下「国内関連者受取利子等」といいます。)の額は、原則として上記(ロの総受取利子等の額に含まれないものとします。ただし、これらの関連者が非関連者又は国内に恒久的施設を有しない非居住者若しくは外国法人から利子等の支払を受ける場合には、その金額は、国内関連者受取利子等の額を限度として、上記(ロの総受取利子等の額に含まれるものとします。
④ 調整所得金額
調整所得金額は、当期の所得金額に、関連者純支払利子等、減価償却費等及び受取配当等の益金不算入額等を加算し並びに貸倒損失等の特別の損益について加減算する等の調整を行った金額とします。
⑤ 繰越損金不算入額
当期の関連者純支払利子等の額が調整所得金額の50%に満たない場合において、前7年以内に開始した事業年度に本制度の適用により損金不算入とされた金額(以下「繰越損金不算入額」といいます。)があるときは、その関連者純支払利子等の額と調整所得金額の50%に相当する金額との差額を限度として、当期の損金の額に算入するものとします。
⑥ 適用除外基準
次のいずれかに該当する場合には、本制度を適用しないものとします。
イ その事業年度における関連者純支払利子等の額が1千万円以下であること
ロ その事業年度における関連者支払利子等の額の合計額が総支払利子等の額の50%以下であること
なお、上記ロの総支払利子等の額には、関連者に対する支払利子等でその支払を受ける関連者において我が国の法人税の課税所得に算入されるもの等は、含まれないものとします。

(35) 適格合併又は100%子会社の解散による残余財産の全部分配が行われた場合において、被合併法人又はその子会社が繰越損金不算入額を有するときは、その繰越損金不算入額を合併法人又は親会社に引き継ぐものとします。
(注)上記の改正は、平成25 年4月1日以後に開始する事業年度について適用します。

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