~変革の時~
YCAビジネススクールⅢ 第33回

本日10時より、YCAビジネススクールⅢが開催された。

前半の発表は、中古パソコンなどの販売業を営むA社の代表取締役社長K氏が行った。同社は弊社とほぼ同時期に創業し、一貫して右肩上がりの急成長を続けている。現在年商約40億円、従業員200人の規模まで拡大しており、今回の発表では3年後において年商100億円規模を想定した中期事業計画の骨子について説明した。

同社は、経営理念・ビジョンの全社的な浸透のため、社長を始め、全スタッフの目標管理シートによる運営を徹底している。それら目標の責任所在を明らかにするため、担当関連部署及びその目標数値等を明確にし、日々モニタリングできるよう管理運営されており、継続的な改善によって、とても強固な経営体質と風土の企業へと変革を遂げることができている。

K氏は、現在の経済危機を小売販売からサービス販売への転換期と位置づけ、経営計画の中で、理念やビジョンに沿って、顧客等とのつながりや共有を大事にすること、役割の再認識による生きがいの創造を行っていくこと、マーケティングマインドを身につけることによる先行管理の徹底をはかることを柱とする経営方針について詳しく説明した。K氏が掲げる理念や目標は非常に明確で強い決意が感じられ、組織的行動として機能していることから、かなり高い確率で実現できるものと確信した。

後段は、先日開催されたGCAサヴィアングループの佐山展生氏のセミナー及びその著書「リーダーの危機突破力」の内容を基に、今後想定される経済危機に対して経営者としてどのように対峙し、越えていくかについて討議を行った。

佐山氏は、日本における再生型バイアウトファンドの先駆けで、数多くのM&Aを経験されている。弊社業務とも関連が深いため、同氏の著書は何冊か読ませていただいた。今回のセミナーの冒頭で、ここ数年、我が国における大企業が実践してきた企業価値向上の施策はコスト削減に偏重しており、人員削減(雇用喪失)と海外移転(国内空洞化)を加速させ、必ずしも日本経済活性化になっていない。日本経済を空洞化させないためにも、企業と個人が日本に居るメリットを増やすこと、例えば法人税、所得税、相続税、雇用に対する減税や地方の活性化などの施策が必要である。できなければ、強い企業と強い個人の海外流出は不可避であり、併せて海外に負けない競争力の強化が最重要課題であると述べられた。

更に、会社や経営者などのあるべき姿について、佐山氏が座右の銘とする物事の捉え方や考え方等を以下のように説明している。非常に分かりやすい言葉で核心を突いており、今後の経営やコンサルティングの参考にしていきたい。

いい会社とは、経営陣・従業員のベクトルの最大化している状態、つまりベクトルが合致していて活性・効率的な組織のことであり、特に経営の仕方が大きく影響する。平常時は、渋滞のない高速道路の運転をするようなもので皆がどうすればいいか決まっているので、特に考える必要なくリーダーの必要性は低い。しかし、非常時は、地図もない嵐の道路の運転をするようなもので皆がどうすればよいか分からず真剣に考えて解を出さなければならないため、リーダーの必要性は高い。そのため、危機突破に必要なリーダーの力は、状況判断力、方向性・施策の決定力や実行力(リーダーシップ)であり、危機突破に必要な組織の力は、状況分析力、方向性・施策の立案力や実行力(遂行力)である。

勝負は下駄を履くまで分からない。勝てると思うと隙ができる。勝てないかもしれない、勝とうと真剣に思うから、集中力が生まれ最大の力が発揮できる。また、ジャンプする前は精一杯しゃがみ込む。落ち込むからこそ、次へ飛躍できる。現状を何とかしないといけないという思いが変革のパワーを生む。勝負には流れがある。流れに逆らわず、流れに乗る。何事も順番が大切である。やる内容だけではなく、それをやるタイミングが重要である。悪いものの後はよく見え、よいものの後は悪く見える。草原のワニと川のライオンのようにどこでも強いものはいない。まず強い領域を作りそこで勝負し、その領域を広げる。勝負は勝つか負けるかだけである。結果だけが重要だと思って挑む。成功とは結果であり経過ではない。終わってみないと分からない。簡単に勝てる勝負はない。苦しいときにいかに諦めずに泳ぎきるかが重要である。心身ともに充実し緊張しなければ攻められない。その充実感、緊張感が勝利を呼ぶ。体験相手は強く見える。相手も人間、完璧はない。萎縮せずにぶち当たる。守るものが多くなれば攻められない。守るのにもエネルギーがいる。競争なくして力はつかない。力なくして繁栄はなし。障害はいつまでも不動ではなく動くことがあり、一瞬隙ができたときが勝機である。流れの悪いときは同じことを繰り返してはだめだ。違うことをやって流れを変えてみる。負けるかもしれないという危機感、緊張感がないと勝負に勝てない。弱いと思っていたものが強いと思っていたものに勝つ。そこに勝負の醍醐味と興奮がある。

人事は強力な選手、優秀な同僚が入ると自分の立場が脅かされると思う人に採用活動をさせてはならない。ストライクゾーンが明確で、そこに投げればストライクと言われるから一生懸命投げる。人事評価も同じである。また、やらないで批判するより、とにかくやってみる姿勢を評価すべきである。能力や成果は、優秀で結果を出せる集団はいい方に、その逆は悪い方に偏り、その偏りを間違うとやる気をそぐことになる。採用は機械の購入と違う。仲間にするつもりで採用すればリストラなどできない。社内で育成できる人材は新卒、できない人材は中途採用すべきである。会社への忠誠心は新卒に限る。社内で育成できないだけ中途採用すべきである。

会社の価値は経営者によって90%以上決定する(経営者の器以上の会社はできない)。優秀なリーダーは優秀な人材を呼び、無能なリーダーからは優秀な人材が逃げて行く。強力なリーダーシップは会社を強くするが、健全なリーダーシップには個人差はあれど賞味期限がある。理屈抜きで何事も決めてしまうリーダー、恐怖政治のもとでは、過ちの軌道修正機能がない。経営力と営業力・技術力は違う。ホームランバッターにバントの練習ばかりさせてはならない。権力を誇示する経営者からは、いい人から順に逃げる。だめな経営者の交代こそが、企業の活性化継続の必要条件である。惜しまれて次にバトンタッチするのが優秀な経営者であろう。疾走できなくなったランナーも昔の速さで走っているつもりである。

会社というのは経営者が大勢の社員を引き連れて荒野を行くようなものである。ビジネスは勝負、強くないと勝てないし、柔軟でないと変化に対応できない。優秀な経営者は常に経営を考え、考えが泉のように沸いてくる。その泉を迅速に処理しないと水浸しになってしまう。会社は常にリニューアルし続けなければならない。生きるために働くのではなく、働くことによって、よりよく生きる。弱い個人が結束しても強くならないし、強い個人が集まっても結束が弱ければその集団は弱い。挫折は最も真剣に自分を考えているときである。その真剣さが次へのジャンプを生む。

この記事は 2011年 12 月 17日(土曜日) に投稿されました。
登録カテゴリー:変革の時(代表者ブログ).
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