~変革の時~
YCAビジネススクールⅢ 第35回
本日10時より、YCAビジネススクールⅢが開催された。
前段における経営戦略等の発表については、個別指導塾A社の代表取締役Y氏が行った。
A社は、西日本を中心に120拠点以上で展開する創業10期目の中堅企業である。今回の発表でY氏は、A社における個別指導塾部門、家庭教師部門及び店舗開発部門それぞれの経営戦略について説明を行った。同社は、リーマンショック以降の急激な景気悪化の影響を受け、戦略の大幅な見直しを行った。主力であった家庭教師部門を大幅に縮小、個別指導塾部門に大きく転換した結果、現在では年商の約9割を占めるに至っている。
またA社は、一昨年に関連多角化の一環として店舗開発事業を立ち上げ、急激に成長させてきた。更に国内市場の縮小を想定し、香港や中国に拠点を構え、海外展開も図っている。Y氏の発表を聴き感じたことは、ターゲットマーケティングが適切で、競合との差別化やニッチ志向が強く、かつリーマンショック時の対応にも窺えるように非常に柔軟で環境適応能力が高く、とても前向きなことだ。一方で組織的にもかなり高いレベルで人事考課制度が機能しており、他社が真似できない強みを合わせ持っている。社長自身が決めなくても自動的に給与が決定する仕組みになっているため社員の納得性が高く、人事考課表自体がコミュニケーションツールとして機能している。その考課表では多面的に評価され、若い人の思考にうまく適応できており、かつ女性の活用にも成功している。弊社においても人事戦略が再重要課題となっているので、同社の成功事例を今後の参考にしていきたいと思った。
後段については先日行われた経済アナリスト藤原直哉氏のセミナー内容を俯瞰的に説明した。
先週、日銀総裁が1%のインフレ目標と資金供給枠を10兆円拡大すると発表した。国債等の買取り資金となる模様だが、海外の機関投資家から完全なインフレ許容と判断され、強烈な円安誘導となったようだ。その後、国債金利が1%上昇した場合、邦銀が持つ国債などの損失の見込みは6.3兆円超で、銀行全体の過去最高純利益の1.5倍に匹敵すると公表した。もし、今後イランによるホルズム海峡封鎖ともなれば、石油供給が大きく制限され、大幅なインフレは必死の状況であり、経営者は金利上昇・国債暴落についてはリスクとして想定しなければならない状況に入ったと考えるべきでなかろうか。
歴史を振り返ってみると明治維新、ソビエト崩壊の前も激しいインフレであった。大きなところは行き詰まり、選択と集中による縮小均衡を図っていくものと想定される。5年から10年は失業者があふれるかもしれないが、次から次とビジネス上の隙間が生まれ、中小零細企業にとっては間違いなく大きなチャンスとなるだろう。幸福になる方法が変わり、例外なく中小零細企業が立役者となって、新興企業が台頭し、矛盾点を立て直す人が立ち上がる。固定給で生きている人々は大変な時代となるだろうが、最も成長できるのは間違いない。何でもありの時代となり、とにかく行動しなければならない。これからは辺境にいる人たちが活躍するはずだ。本物の強さを取り戻さなければならない。売る商品は時代の息吹が感じられるユニークなものでなければならない。今まで規制や技術的な問題などで実現できなかったことができるようになるかもしれない。現在の経済システムをつくり直し、安定成長に戻るには10年くらいかかるだろうが、人生最大の好機と捉え、筆者自身も勇猛果敢に挑戦していきたい。