~変革の時~
若手行員との勉強会開催
本日19時より、弊社において某金融機関の若手行員に対する勉強会を開催した。今回の参加者は約30名で、最後まで活発な議論が交わされた。
この勉強会は、弊社が親交のある中堅行員が中心となって、将来同行を背負って立つ人材育成が目的で月一回のペースで行われている。
各参加者の発表内容については非常に前向き、かつ積極的な内容が多かった。ほとんどの方が知識の習得やキャリアアップに貪欲で、将来大きく成長されるのは間違いないものと確信した。また、OJTも積極的で会社全体で人材を開発しようとする企業風土が窺え、弊社も見習っていきたい。
今回のテーマは、「実践的な財務諸表の見方・考え方」の第3回目であった。
経営者は、財務諸表を戦略的に捉える必要がある。過去における結果の視点のみでは、望ましい状態(あるべき姿)は構築できない。現在のような最悪の外部環境でも、会社は継続することで雇用を守り、事業を通じて社会貢献し続けなければならない。決して倒産させてはならない。
経営戦略的には、財務諸表について次のような見方・考え方が必要である。
(1)企業を取り巻く利害関係者(ステークホルダー)との利害調整の視点を持たなければならない。原則として、利害関係者とWin-Win(又はNo Deal)の関係が前提である。財務諸表分析では、各取引関係の状況を強く意識すべきである。
(2)財務諸表を戦略的に捉えると、貸借対照表(バランスシート)は、「長期的」に「意識的」に創るものであり、会社経営(中長期事業計画)と直結する。短期的に大幅な改善は難しいので、おおよそ5年後の望ましい状態を明確にイメージして、それを目指して毎期積み重ねていく必要がある。
損益計算書は、短期的な結果(意見)であり、収益に対応した費用・利益の配分バランスが重要となる。また、予算(売上・費用)と直結し、税引後当期純利益の累積が自己資本の厚みであり、会社の継続性を保証する。法人税、住民税及び事業税は会社が継続するためのコストであることを認識し、適切にコントロールする必要がある。
キャッシュ・フロー計算書は、収支結果(事実)であり、資産・負債の増減が影響する。経営的には、収入=収益、支出=費用の視点での運用が求められ、投下資金の回収意識を持つ必要がある。つまり、費用や設備取得等は投資であり、回収が前提となる。
(3)金融機関(銀行)による債務者区分や格付けを重視しなければならない。非上場会社においてはガバナンス機能が働きにくいため、誤った経営判断を行う可能性が高い。金融機関の格付作業では定量評価や定性評価など合理的かつ科学的に分析がなされるため、年一回の健康診断だと考え、意識して戦略的に財務内容の健全化に努めるべきだ。
(4)金融機関に高評価される会社を目指すべきである。戦略的には、個人財産の形成より、会社の財務体力増強を重視し、自己資本比率を上げていく経営が求められる。方法として、社長借入金の資本組入(DES)や増資等により、短期的に改善させることも可能であるが、基本は税引後当期純利益の継続的な計上が重要となる。そのため、法人税等は会社継続の必要経費(コスト)と捉えるべきだ。
融資姿勢も確実に担保主義から事業性重視へと移行してきているものの、保有資産の健全性や効率性については常にモニタリングを行い、資産価値の向上等に努めるべきである。
また、定性評価を上げるためには、新会計基準による積極的な開示と共に、定期的な事業計画や経営戦略等の報告を行って、支店長や担当者等とのコミュニケーションを重視していくべきであろう。