~変革の時~
YCAビジネススクールⅢ 第9回
本日10時より、YCAビジネススクールⅢが開催された。
前段における経営戦略等の発表については、某金融機関A社のY氏が行い、最後まで非常に活発な議論が展開された。
A社は、地元密着型の優良な地方銀行で、社会貢献や環境適応に最も積極的に取り組んでいる企業である。今回Y氏は、自身が所属する部門の経営戦略等について発表を行った。
同部門は、企業再生を基点として発足し、5つのグループが相互依存的に補完し合って展開している。顧客の問題解決を目的とし、ワンストップで対応できるよう高い専門性と幅広い取扱業務を兼ね備えている。弊社も連携して業務を行うことがあるが、同社のモラルの高さとスピード感には目を見張るものがあり、九州最大規模の組織と数多くの実績により他社の追従を許さず、今後も地元経済界をリードしていくに違いない。
Y氏は、同部門の競合要素の定義と競合比較を行い、SWOT分析により問題点及び原因の抽出とその解決に向けた課題について発表した。同社は、グループ会社を含めた情報ネットワークで圧倒的な競争優位を築いている。そこから、顧客の問題点や課題を抽出し、その解決や改善提案を行うビジネスモデルである。同部門は、銀行の生え抜きだけではなく、証券会社経験者や弁護士その他の専門家を多数抱え、非常に優秀な人材により構成されている。これまでの地方銀行にはない組織形態だ。一方、大企業ゆえか各支店等とコミュニケーションにはまだ壁が感じられ、今後、更に事業として大きく成長・発展していくためにはその解消が大きな課題であろう。
また、Y氏は自身が融資を検討する場合において、特に留意すべき項目として次のものを挙げ、詳しく説明を行った。
(1)経営者がすべてである (2)必ず現場へ足を運ぶこと (3)損益計算書より貸借対照表を見ること (4)取引先の強みと弱みを知ること (5)その業界を知ること
確かにY氏の言うとおり、財務諸表の表面的な部分だけを見るのではなく、経営者の本質や経営能力等、現場の状況、事業・ビジネスモデル・業界そのものを理解し、長期的な視点で融資判断すべきであり、大変参考になった。
後段のテーマは、「マーケティング」についてであった。
マーケティングとは、簡単に言えば、「売れる仕組みづくり」で、事業そのものを意味するので、経営者はその付加価値の源泉と競争優位性について、常に自問し続けなければならない。急速なITの普及など経済環境の激変により、PLC(製品の寿命)は著しく短くなった。未曾有の経済危機により、供給過剰による価格競争の出口はまだ見えていない。もはや、製品志向や販売志向のマーケティングでは、企業の付加価値は長期的に維持できなくなった。本当の意味での顧客志向・社会志向を追及していかなければ、持続的な競争優位が維持できない時代になったことを真摯に受け止めるべきだ。
経営者は、市場を細分化し、自社のお客様を正確に認識し、そこに向けて常に付加価値を創造し続けなければならない。そのためには、現場に目を向け、現場の声を聞き、現場を基点としたマーケティングリサーチを実施する必要がある。顧客や社会の課題及び問題に対応する姿勢でなければ、いずれ市場から淘汰されることを肝に銘じるべきであろう。
マーケティングのあるべき姿は、自社の製品・サービスが社会や市場から必要かつ信用され、割安感のある価格で提供し、社会に役立てる仕組みを構築することであり、究極は、売上が増えるほど社会貢献できる仕組みを創ることである。