~変革の時~
銀行員との勉強会開催
本日18時より、弊社において某金融機関の行員に対する勉強会を実施した。新年度1回目の開催ということで心機一転、全員参加で行われた。同金融機関は、他県に本店を置く財務健全性の高い地方銀行であるが、成長志向の若手行員が多く、今回も最後まで活発な議論が展開された。
今回のテーマは、「戦略的な財務諸表の捉え方」であった。
会社のマネジメントを的確に行うためには、戦略、組織及びマーケティングの視点が必要である。経営資源であるヒト・カネ・モノ・情報をいかに効率よく展開、自社の強みを持続的に構築し、それを機会に集中させることができるかが鍵となる。これらの多くは財務諸表をモニタリングすることで把握することが可能であるが、十分な財務スキルを持っていないと近視眼的又は盲目的になりやすいので注意が必要だ。この場合において、大切なことはフレームワークによる分解思考であり、いかに細分化及び対比して見ることができるかがポイントであろう。
経営戦略的には、財務諸表について、次のような見方・考え方が必要となる。
(1) 企業を取り巻く利害関係者(ステークホルダー)との利害調整の視点を持たなければならない。原則として、利害関係者とWin-Win(又はNo Deal)の関係が前提である。財務諸表分析では、各取引関係の状況を強く意識すべきである。
(2) 財務諸表を戦略的に捉えると、貸借対照表(バランスシート)は、「長期的」に「意識的」に創るものであり、会社経営(中長期事業計画)と直結する。短期的に大幅な改善は難しいので、おおよそ5年後の望ましい状態を明確にイメージして、それを目指して毎期積み重ねていく必要がある。
損益計算書は、短期的な結果(意見)であり、収益に対応した費用・利益の配分バランスが重要となる。また、予算(売上・費用)と直結し、税引後当期純利益の累積が自己資本の厚みであり、会社の継続性を保証する。法人税、住民税及び事業税は会社が継続するためのコストであることを認識し、適切にコントロールする必要がある。
キャッシュ・フロー計算書は、収支結果(事実)であり、資産・負債の増減が影響する。経営的には、収入=収益、支出=費用の視点での運用が求められ、投下資金の回収意識を持つ必要がある。つまり、費用や設備取得等は投資であり、回収が前提となる。
(3) 金融機関(銀行)による債務者区分や格付けを重視しなければならない。非上場会社においてはガバナンス機能が働きにくいため、誤った経営判断を行う可能性が高い。金融機関の格付作業では定量評価や定性評価など合理的かつ科学的に分析がなされるため、年一回の健康診断だと考え、意識して戦略的に財務内容の健全化に努めるべきだ。
(4) 金融機関に高評価される会社を目指すべきである。戦略的には、個人財産の形成より、会社の財務体力増強を重視し、自己資本比率を上げていく経営が求められる。方法として、社長借入金の資本組入(DES)や増資等により、短期的に改善させることも可能であるが、基本は税引後当期純利益の継続的な計上が重要となる。そのため、法人税等は会社継続の必要経費(コスト)と捉えるべきだ。
融資姿勢も確実に担保主義から事業性重視へと移行してきているものの、保有資産の健全性や効率性については常にモニタリングを行い、資産価値の向上等に努めるべきである。
また、定性評価を上げるためには、新会計基準による積極的な開示と共に、定期的な事業計画や経営戦略等の報告を行って、支店長や担当者等とのコミュニケーションを重視していくべきであろう。