~変革の時~
YCAビジネススクールⅢ 第36回

本日10時より、YCAビジネススクールⅢが開催された。

今回は、ジュームス・スキナー氏の新著「略奪大国」について、マインドマップを用いて解説した。ジュームス・スキナー氏は、スティーブン・R・コヴィー氏の著書「7つの習慣」を翻訳し、日本に紹介したことで知られているが、前著「お金の科学」は「7つの習慣」と同様、非常に完成度が高く、数多くの名言や助言等が満載されている。今回の新著では、日本経済の本質的な問題点を鋭く指摘し、その解決方法について大胆に提言している。日本の政治にはあまり見られない、とても斬新かつ哲学的で説得力がある内容であり、ぜひ参考にしていただきたい。本著の骨子は、以下のとおりである。

経済とは、人間の生活のことであり、生活に必要なものはすべて、企業の生産活動によって作られ、政府は何もできない。すべてが実態経済の力である。国内総生産(GDP)は、経済成長を把握するための最も基礎的な指標である。創造していない価値は消費できず、GDPが成長すれば、国民生活は豊かになるが、国民の生活を豊かにするためには、元手となる資本金が必要である。資本金が経済に大きなテコ効果を発揮する。資本主義とは、社会に余剰が出たとき、それを会社の資本に投入する思考とシステムのことであり、資本→企業活動→物資やサービスの生産→豊かな国民生活の過程で適切に機能する。

利息は、お金を借りる賃貸料であり、資金運用益の分配金である。中央銀行が公定歩合を引き下げ、マネーサプライを増やせば、経済は加速し、インフレになる。金利とマネーサプライの管理で、インフレ率0%を維持することは、経済における最も基本的な約束事であり、低金利→企業活動の活発化→資材などの需要増加→インフレ→金利の引き上げの循環で経済は適切に機能する。

生産性向上がマネーサプライを増やし、経済成長の基になり、自由競争→生産性向上→マネーサプライの増加→経済成長→豊かな国民生活という健在な経済を創出する。なお、デフレのスパイラルが経済における最大の危機であるが、マネーサプライを増やすことで回避できる。一定の価値を維持する通貨を発行し、インフレもデフレも起きないようにすることは、政府と中央銀行の経済における役割である。政府の基本機能は、人を暴力と詐欺から守ることであり、それ以外のことをやり始めると、必ず略奪が起きる。政府の資金源は、税金、国債、インフレの3つしかない。資金源はどうであっても、政府がお金を使うことは、国民が消費できる物資やサービスを減らすことにつながる。

世界大恐慌は資本主義の失敗ではなかった。マネーサプライを調整させるシステムが完備していなかったため、連邦準備銀行がマネーサプライの減少を許すことで、世界経済の大恐慌を引き起こしたに過ぎない。国は無借金にすべきである。最初の1円から国債がおかしい。個人であっても、企業であっても、利息は運用益の分配金であり、政府は運用益がないので、お金を借りること自体がおかしい。バブルとその崩壊は赤字国債を発行した自然の結果である。赤字国債の発行は金融詐欺に等しい。ニューディール政策は、マネーサプライを増やすことに成功したが、巨大な政府を生み出し、人間の経済的自由を奪う結果になった。中央銀行が正しく機能していれば、すべて不必要なものであった。マネーサプライを増加させるとき、企業の事業資金を増やす方法で行うべきであり、政府の利用するお金は、継続的な繁栄をもたらさないのである。政府支出により日本でGDPが増えても、政府の浪費で国民は豊かにならない。マネーサプライは増やせるが、不能率である。社会の自由と経済機会を奪う結果となり、バブルとその崩壊を繰り返す。一回赤字予算を組めば、ずっと赤字予算を組まなければならない。日本は必ずデフォルトをする路線を歩んでいる。

ケインズ経済学は哲学的に破綻している。全世界を大きな危険にさらしている。中毒を乗り越える唯一の方法は、きっぱりとやめることである。日本は今、大惨事に向かって夢遊中である。日本の国債費用は税金で払っていない。日本の政府は信じられないくらいのどんぶり勘定であり、民間人がやったら即日逮捕の水準である。日本の予算で問題になるのは、国債費用と社会保障費用で、この2項目で、国と地方自治体の予算の60%を占める。バブル経済は、日銀と大蔵省の茶番劇であり、デフレスパイラルに対して、中央銀行がマネーサプライを増強しなかったために起きた。インフレが起きているときに、中央銀行がマネーサプライを縮小させないと、バブルになる。政府が国債を発行するとき、安く借りたいため、金利引上げをせず、バブルが起きる。政府が赤字国債を発行していれば、インフレ政策が取れなくなる。インフレによって、政府の借金は返しやすくなり、経済成長の錯覚を作ることができる。インフレは政府にとって増税効果もある。消費者物価の統計から住宅や燃料の費用を除けば、バブルが起きていても、インフレがないようにも見せられる。バブルの後には、デフレのスパイラルが待っている。すべてのバブルは、ずさんな金融政策の結果である。すでにゼロ金利になっており、押すアクセルがどこにもない。

管理するほど世界経済はおかしくなる。バーゼル銀行監督委員会のバーセルⅡでは、銀行はローンなどの保有資産のリスクを評価し、それに合わせて自己資本や準備金を引き上げなければならない。銀行は背負えるリスクを小さくしなければならないため、貸し剥がしの要因となりやすい。銀行にとってリスクは商売そのものであるが、ローンを売却し、バランスシートから外すことはローン業からの撤退を意味し、単なるローン作り業となってしまう。バーゼルⅡの規制は、銀行にとってローン業から撤退するという命令に等しかった。また、住宅ローンを証券化することで、銀行はローンのリスクを低く見せるようにした。実際にローンを承認する人は、すぐに転売することで審査が非常に緩くなり、このローンの証券化により、銀行業が実質的に崩壊したと言える。銀行のリスクが減っているように見えるこの金融マジックは、実際にはリスクを交換しているだけで、極端なレバレッジがきていており、ファンド会社や銀行が膨大な手数料を稼いだだけだった。レバレッジは金融システムを不安定にし、小さな価格下落を大きな暴落に変える作用があり、リーマンショックを発生させた。世界経済の危機は、政府の規制により作られたに等しい。

国は信頼をなくすとき、赤字国債の利息が高くなり、予算が組めなくなる。今までの国債の支払いも困難となりデフォルトになる。国がデフォルトすると、銀行の預金者のお金が消える。日本の国債の94%が国内発行なので、日本がデフォルトすると、日本のすべての銀行が倒産する。デリバティブは金融カジノと同じであり、世界規模は1000兆ドルに達している。世界全体の株式市場の11倍の規模もあり、社会の資本を奪い、市場を不安定にし、多くの金融機関や政府の財政を破綻させるものであるから、基本的には社会から失くすべきである。ヘッジファンドやデリバティブの登場によって、正しい銀行規制が崩れることになったが、銀行は本業、つまり本来の実態経済にお金を提供する役割に徹すべきである。また、銀行は、国債を購入してはならない、ヘッジファンドにお金を貸してはならない、デリバティブの発行者又は購入者であってはならない。

資本主義はまだ行き詰っていない。現代日本は社会主義大国で、略奪大国である。日本の赤字の本当の問題は、1050兆円が企業の資本にまわらなかったことにある。日本が資本主義に徹していれば、全世界は今日本の管理下にあるはずだ。ダメな政府がその運命を盗んでしまった。公務員が優秀だということは、お金を略奪する手口が優秀であるということになる。優秀な人材は実態経済に従事すべきである。人のお金を人のために使うと不能率になり、自分のお金を自分のために使う方がはるかに優れている。これまで資本主義は行き詰ったことはない。政府はお金の価値を維持するようにマネーサプライを管理し、赤字国債を発行せず、銀行が本業に徹する環境において、不況を生み出したことは一度もない。

最後に、日本にもまだ栄える道はある。それは略奪をやめることである。前例主義はよいことをせず、ダメなことをする言い訳に過ぎない。問題は何が正しいのかということである。社会主義と共産主義のすべてが不道徳であり、破綻した哲学である。日本の社会保障費は40%削減すべきであり、かつ、赤字国債で賄ってはならず、すべて保険料の範囲で賄うべきである。資本主義の原則は、国が通貨の価値を一定に保つこと、赤字国債を発行しないこと、銀行などの金融会社が本業に徹することである。政府にできることは何もない。略奪大国さえやめてくれれば、あとは民間でできる。また、国民は、略奪心や嫉妬心を捨てなければならない。人の成功を見て、それを喜んであげなければならない。政府に期待することをやめなければならない。

この記事は 2012年 3 月 24日(土曜日) に投稿されました。
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